[fpr 165] 質問

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

(先のfpr164は,誤って送信してしまいました。無視して下さい。)

豊田@立教社会さん wrote:
>> 私は,誤用とは「統計学的な仮定を逸脱し,しかも「そのことが原因で」実質科学的に
>> 間違った主張がなされている」状態であると考えます.
>> そう考えると,1つの論文が誤用を侵しているか否かの判断を
>> するだけで,相当のエネルギーが必要です.

「誤用」の定義を明示して議論されているので,考え方がよく理解できます。
ただ,上のように定義すると,「適用した統計的手続き」や「統計的概念の
解釈の仕方」などが誤り(統計的誤用)であるかどうかは,その研究の結論
次第だということになるわけですね。

私は,統計的誤用と,それに基づく結論の誤りとは区別したほうが良いと考
えています。

つまり,データの収集の仕方や分析の仕方から正当化できる結論と,そうで
ない結論があって,そうでない結論を主張した場合には「統計的誤用」を
犯しているということ,しかし,その導かれた結論自体は,後にその正しさ
が認められるようなものである可能性はあるということです。

もちろん,統計的誤用をそのように限定しても,「データの収集の仕方や分
析の仕方から,ある結論が正当化できるか否かの判断」は,統計史上でも激
しい論争があったように,必ずしも容易ではありませんが,その議論は,少
なくとも「結論」の正しさとは独立にできるはずです。

研究の道具としての統計的方法の適用の仕方や解釈の仕方を論じるとき,ま
た,統計教育について考えるときは,そうした理解でよいのではないですか。

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    南風原朝和  (はえばら ともかず)
     haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp
〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学教育学部
TEL: 03-5802-3350     FAX 03-3813-8807
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