南風原@東大教育心理です。 豊田さん@立教社会によれば,因子構造は >> ときどき眺めるのですがあまり有益な解釈ができたことは有りません. >> ただし確認的(検証的)因子分析をした場合にパスを引かなかった( >> そういう因果モデルの立場をとった)因子と観測変数の間の擬似相関と >> して解釈することはできますが,主要な解釈ツールとはいえないようで >> す.応用論文でもほとんど解釈しているものには出会いません. >> >> ここで責任をもって回答できることは,「米国で発表されるほとんどの >> 応用論文では,単純化されたパタンと因子間相関の2つを主に解釈に利 >> 用している」ということです.その意味で前掲拙著のシナリオは妥当で >> あったと信じています.少なくとも多数派の分析の定石ですから,構造 >> を無視しても非難されることはないでしょう. ということですが,論文で表に出てくるかどうかは別にして,また,そうし ないと非難されるのかどうかも別にして,因子解釈の作業の中では,因子パ タンも因子構造も因子間相関も(さらには reference axis に関する情報も −−これら相互の間には冗長な情報が含まれているとしても)総動員して考 えるほうがいいのではないですか。 斜交解の因子パタンは,因子を説明変数とし,変数を基準変数とした重回帰分 析の枠組みで考えれば,標準偏回帰係数にあたるわけですよね。重回帰分析や パス解析では,偏回帰係数に加えて,基準変数と各説明変数との単純相関係数 を見ておくことが,データの特徴について有用な情報をもたらしてくれると思 うのですが,因子分析でもその単純相関に相当する因子構造を同様に重視する 必要があるんじゃないですか。それとも,因子分析の場合は事情が異なるとい うようなことがあるのでしょうか。 南風原朝和(haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp)
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