鈴木@日経リサーチです. 豊田さん wrote: >>以上の理由から,私は「構造を単純化する回転」はパタンを単純化するための >>中間生成物以上の意味はないと判断しました. >>ここで責任をもって回答できることは,「米国で発表されるほとんどの応用論文では ,>>単純化されたパタンと因子間相関の2つを主に解釈に利用している」ということで す.>>その意味で前掲拙著のシナリオは妥当であったと信じています.少なくとも >>多数派の分析の定石ですから,構造を無視しても避難されることはないでしょう. 闇夜の中に光を見た思いです.直面している2つの疑問の1つに見通しがつ きました.もう1つは, >>しかし因子得点は,それそのものを解釈する場合は良いのですが >>男女別に分散分析したり,回帰分析したり,,,,,, >>と,新たな分析の入力に利用するのは控えたほうが良いのではないでしょうか >>誤差が累積するからです. >>(わたしはこれを密かに「あこぎ豆腐:煮て焼いて蒸して揚げる」と呼んでいます >>もとの豆腐の味はしなくなるという意味です) に関連したことでした.「因子得点の男女別の平均値の差の検定をしてくれ」 という類の話はよく出ます.今度から「あこぎ豆腐」をお借りします.因子得 点の標準誤差はどう考えたらいいのか,ブートストラップ法で見積もろうか, などと考えていましたが. プリズムの「誤差の累積」については,一生懸命勉強していきたいと思いま す.3年目のプリズムが間もなく出ます.結果の「ランキング」のことを言わ れると,頭が痛いのですが,豊田先生のご意見を参考にしていきたいと思いま す. >>プリズムとは,企業の状態を光にみたてて,潜在変数というプリズム >>をとおして,ランキングという虹を描く >>(MIMICモデルは,パス図にかくとプリズムが集光している形に似ています) >>という意味ですか? 美しいですねぇ.命名は私ではありませんので,今度聞いておきますが,豊 田説を伝説化した方がいいですね.これにしましょう. 私自身の連想と思い入れは,中野重治の鴎外論とデカルトです.鴎外「その 側面の一面」という言い方です.企業も人間も多面的である.いろいろな側面 がある.さらに側面にはいろいろな一面がある.それぞれの一面は多数の要素 で構成される・・・.調査票の設計はまさにそのように進められ,「側面」が 潜在変数のレベルに対応し,「一面」以下が観測変数のレベルに対応し,とい う作業が,ちょうどデカルトの要素還元だなぁ,というわけです. 概念的に構成した「優れた会社」を,観測可能な変数に分割し,その測定結 果を今度は合成し,観測変数を潜在変数に再構成していく作業は,具象化と抽 象化,顕在化と潜在化,下降と上昇,分割と合成の往復運動,まさにデカルト の精神指導の規則じゃあないか.と青臭い私は密かに喜んでいるわけです.さ て,このデータ解析に血が通っているかどうかが問題だ. 鈴木督久(日経リサーチ) KGH00763 (at) niftyserve.or.jp
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