豊田@立教社会 これから,このリストでは,私は敬称として.さんor氏で統一することにします. haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp さんは書きました: >南風原@東大教育心理です。 >因子解釈の作業の中では,因子パ >タンも因子構造も因子間相関も(さらには reference axis に関する情報も >−−これら相互の間には冗長な情報が含まれているとしても)総動員して考 >えるほうがいいのではないですか。 はい,正論です.総動員できれば総動員したほうが,しないよりもよいでしょう. 何故,因子分析の教科書に,応用統計家の欲しがるノウハウが乗りにくいのかも, 解るようなきがします.理論を記述する立場からは,可能性として少しでも たくさんの情報やツールを提示したいということでしょうね. 最近は計算機が発達してオプショナルな出力が山ほどでてきます. 出力の厚みも1つの計算で相当なものだし,「総動員」しようとして allを指定しようものなら更に厚みがまします. 厚みに圧倒されて,まず出る第1声は「この出力のどこを見るのでしょう」です 更に通常は,データごとに,属性毎に,計算オプション毎に,モデルごとに 計算しますから,出力は 1.どこは見ないで済ませ, 2.どこからどこまでをCRTで確認するだけにして(消して) 3.どこまでをフアイルに残し, 4.どこからを紙に出力し, 5.どれを清書するか という理論家にはとても答えられない「高度な」決定を日常的に する必要にせまられます. 鈴木さんの,(指摘してもらえば)「私はとても気持ちが楽になる」 という表現を読んだとき,私は上述の私自身の日常的なジレンマを連想しました. そこで,墨はつけられないけれど,少し楽になってもらいたかったのです. 総動員して考えるほうがいいのではないですか,という正論は別にして どの出力を優先して解釈すべきかという判断は,今後ますます重要な 視点になるでしょう. >斜交解の因子パタンは,因子を説明変数とし,変数を基準変数とした重回帰分 >析の枠組みで考えれば,標準偏回帰係数にあたるわけですよね。重回帰分析や >パス解析では,偏回帰係数に加えて,基準変数と各説明変数との単純相関係数 >を見ておくことが,データの特徴について有用な情報をもたらしてくれると思 >うのですが,因子分析でもその単純相関に相当する因子構造を同様に重視する >必要があるんじゃないですか。 具体的に「こんな素晴らしい構造の解釈の事例があるよ」という指摘をしていただけると 有り難いのですが.必要があることを主張するためにはパタンに匹敵する事例を示す のが1番ですから. >それとも,因子分析の場合は事情が異なるとい >うようなことがあるのでしょうか。 因子分析の事情としては 1.単純構造を目指しているときは,ほとんどの観測変数に関して 因子を説明変数とする単回帰になっている. 2.たまに,2つの因子からパスの来る観測変数もあるが, 説明変数が2つの場合には,因子間相関がわかれば,パスの解釈ができる. 3.因子相関は中程度以下でないと実質科学的な解釈が難しいことが多い. 4.因子間相関が相当高い場合は,むしろ因子数を減らすべき状態である ということでしょうか.また,研究の初期段階では 3つ以上の因子からパスがきて,因子間相関が高いような暫定的な 解に遭遇することもありますが,こういうモデルはそもそも,多くの場合に 実質科学的な解釈ができないので,モデルの再構成をします. さらに再構成する場合にも私の経験では構造は決定的な独自の情報にはなら ないようです. ---------------------------------------------------------------------- Hideki TOYODA Ph.D., Associate Professor, Department of Sociology TEL +81-3-3985-2321 FAX +81-3-3985-2833, Rikkyo (St.Paul's) University toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan ----------------------------------------------------------------------
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