[fpr 239] (No Subject in original)

堀啓造

堀 啓造@香川大学経済学部です。
鈴木@日経リサーチさん[fpr 236]は書きました:


>ら,どうするかというご参考です.(なお私の経験はいつでも数百から数千件
>の大標本の調査データによっています).

数量化は大標本データのきちんとサンプリングしたデータであることを前提の方法
ですね。(開設された頃の)放送大学で林知己夫氏は最近、少ないサンプルのデー
タの処理に数量化を使っている例があるが、このようなときのための指標(だった
か対処だったか)が必要かもしれないというようなことをおっしゃってました。


><1>クロス集計をします.もしも単純集計で10%や90%の変数があった
>ら,こんな小さな分散の変数を多変量解析しても意味がないと思うので除外し
>ます.もしも10変数とも10%前後のようなデータを因子分析すると,それ
>こそヘイウッドケースになると思います.

ここには2つの考え方があると思います。一つは鈴木さんのようにそのアイテムま
たはカテゴリーを使わないようにするです。このようなカテゴリがあると解に大き
な影響を与えるというのか、それを中心にする解がでてきますね。山中伸一さん
[fpr 225]の(10)(約3%)や(7)(約6%)はその例ですね。豊田さん[fpr 235]も
指摘しているように(10)は削除すべきアイテムでしょうね。

もう一つの考え方はそれが十分に意味のある項目かつカテゴリ組であり、信頼でき
る回答であり、きちんとしたサンプリングの場合にだけあてはまるのですが、「精
神分析学的な人間考察」と私が勝手に考えているものです。精神分析学的な人間考
察は、異常と思えるところに普遍的な人間像を想定するわけです。少数のとんがっ
た人かもしれないけど時代の先端を感じるひとがいる。または、時代から完全に疎
外されてあえいでいる。そんな人から世界を見ると、問題がよりクリアにされる。
と思って分析してみるというのはどうでしょうか。

><3>2値変数を2個のダミー変数に倍増させて3類をやるのは,対象な空間
>を作る以外に使いみちがよく分からないので,2値変数のまま,つまり10変
>数として分析します.このデータの相関行列を主成分分析して3類と比較する
>と,よく似た結果になると思います.

多重対応分析の場合、
大隅昇るほか(1994)記述的多変量解析法 日科技連
p159-160 では「すべての質問が2つの反応カテゴリーからなるときには、多重解析
は各質問の2つのカテゴリーの中の一つのカテゴリーだけに注目した主成分分析に
すぎない」ということを証明しています。

ただし、SAS Technical Report:P-179 :Additional SAS/STAT procedures 
Release 6.03 の CORRESP Procedure の章を読むと目がくらみます。はたしてこん
なにオプションがあるのはなぜなんだろうか。因子分析のように考え方の違いが名
前の違いになっていればまだいいんですが、同じ名前のもとにこのように異なる処
理があるのはなんだろうか。このマニュアルでは日本語の文献がいくつか引用され
ていますが、著者は誰なんでしょうね。

SPSSならこんな悩みがなくていいです。ああ、コンビニでの買物を望むように
統計パッケージも少ないオプションでそこそこ要求を満たすというのがいい。

<その他>
(1)SASは
MCA is not a simple correspondence analysis of the Burt table.(p15)
とはっきり断ってますね。バート行列の対応分析が数量化3類だというような記述
を見たような気もするけど、違うわけですね。大隅らの本で言うp150 完全排反型デ
ータ表の場合はどうなるんでしょうね。

というわけで、対応分析とか多重対応分析というのは数学的に追わないとわからな
い部分があるようです。

(2)双対尺度法尺度法でも多肢選択データの処理をします。プログラムが載っている
のでちょっと目で追ってみたのですが、完全排反型データ表の分析をしてます。

(3)SPSSのhomalsの結果は、
Gifi(1990) Nonlinear mulitvariate analysis. Wiley.
の結果と違っています。アルゴリズムをかえたそうです。本のほうは私が、SPS
Sのマクロで組んだ数量化3類の計算と同じです。 

(4)こういう違いは無視していいような違いなんでしょうか。

(5)山中さんのデータは上位3つの選択としていますが、これは数量化3類でいいん
でしょうかね。探索的に使うというのはかまわないと思うんですが、論文としてい
いのでしょうか。

香川大学経済学部
        堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp

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