[fpr 272] quant 3 etc.

堀啓造

堀 啓造@香川大学経済学部です。

[fpr 271]の続き。

toyoda (at) rikkyo.ac.jp さんは書きました:[fpr 235]
>そのとき現在はマル印とそうでないもの(1,2)両方とも変数として扱っ
てますが
>(項目10を抜けば変数の数は18)マルをしたもの(1だけ)を変数とし
て分析し
>たもの(変数の数9)との,比較をすると,きっと面白いですよ.

こういう考え方は数量化3類にありますね。そこで分析していました。
SASの対応分析です。
1軸の得点

                  Column     主成分
             Coordinates   分析

                    Dim1     FACTOR1  

    COKEO        -0.81381   -0.88627 
    DIETCO        0.77501    0.78369 
    DIETPO        1.01701    0.63560 
    DIET7O        1.18734    0.67680 
    PEPSIO       -0.84121   -0.74162 
    SPRITEO      -0.61906   -0.38630 
    TABO          1.18812    0.84395 
    UP7O         -0.68297   -0.42521 

                   Squared Cosines for the Column Points
         8カテゴリ             16カテゴリ  16カテゴリの
                 相関係数         前回分析      場合の平方根
                 の2乗
          
                    Dim1              Dim1     SQRT(DIM1)
   COKEO        0.758849           0.785480     0.886273     
   DIETCO       0.642082           0.614178     0.783695      
   DIETPO       0.396383           0.403982     0.635596     
   DIET7O       0.439292           0.458054     0.676797     
   PEPSIO       0.530781           0.549993     0.741615     
   SPRITEO      0.174921           0.149224     0.386295     
   TABO         0.696315           0.712246     0.843947     
   UP7O         0.199273           0.180802     0.425208     

というように、この分析をする意味ははっきりしません。私は、このように、
YES反応(2値のうち一方)を分析するのは、数量化3類のバート行列を分
析するのとは意味がまったく違っていると考えています。この2つは別の名前
をつけるべきものです。せいぜい、ガットマン尺度の代わり程度の意味しかな
いのではないでしょうか。なにかYES反応だけを分析する意味があれば教え
てください。

16カテゴリで分析を例にとって、もう少し別のことを説明します。
軸の得点は同一アイテム内では平均0になるように調整されています。
(b)はダイエットコークですが、これは1週間に飲んだ人と飲まない人が同じ
人数いることがわかります。(a)コーク(c)ダイエットペプシの人数比もこれで
割り出すことができます。
           1軸得点    頻度
(a)       COKEO        -0.74151         20 
          COKEX         1.05930         14
(b)       DIETCO        0.78369         17
          DIETCX       -0.78369         17
(c)       DIETPO        1.14584          8   
          DIETPX       -0.35257         26

欠損値がない場合、何%の人が反応したかで、そのそのカテゴリの得点の可能
な最大値を求めることができます。Gifi(1990)p112-113.

>
>    | 100−x |1/2             | 100−x |1/2
>  −|----------- |    ≦ y ≦  |----------- |   
>   |     x    |                |     x    |
>
>|は絶対値の意味ではなくカッコの代わりに使ってます。

相関係数の絶対値は、
              (対応分析の軸得点)
相関係数= ---------------------------
             | 100−x |1/2
             |----------- |   
             |     x    |

(a)のコークの場合(20:14  58.8%,41.2%)
                -.74151    
相関係数=-----------------------=-0.8858
           sqr((100-58.8)/58.8)

(b)のダイエットコークの場合(17:17  50.0%,50.0%)、


                   0.78369
相関係数=-----------------------=0.78369
              sqr((100-50)/50)

(c)ダイエットペプシの場合(8:26  23.5%,76.5%)
                  1.14584    
相関係数=-----------------------=0.6350
           sqr((100-23.5)/23.5)

と誤差の範囲におさまっていて上の値と一致する。

つまり、そのカテゴリは何%の反応があったかがわかれば軸得点からそのカテ
ゴリと軸との相関係数を計算することができる。

このように考えると、軸得点または、数量化3類のアイテムカテゴリ数量を重
視する理由はあまりないのではという疑問も起こる。つまり、アイテムカテゴ
リ負荷量をチェックしないため、頻度の少ないカテゴリを不必要に重視するこ
とになっている。

香川大学経済学部
        堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp

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