[fpr 301] fpr:ABOUT PRINCOMP

堀啓造

岡田努 <okada (at) ed.niigata-u.ac.jp> さんは書きました:[fpr 300]

>分散・共分散行列をもとにした主成分分析での「主成分負荷量」の解釈の仕方
>について,混乱しています..
>わけあって,上記の指標によって,主成分を解釈しなければならないのですが...
>
>多くの教科書では,抽出された主成分を解釈する指標として「固有ベクトル」を
>用いることは,説明されていますが,主成分負荷量についての説明というのは
>どうも見当たりません.
>ところがhalbau(ver4)という現代数学社から出ているソフトの出力では,
>固有ベクトルではなく「主成分負荷量」が出力されます.
>「相関行列を元にした主成分分析」の場合の負荷量ならば,因子負荷量と同じような
>基準で解釈できるのではないかと思うのですが,「分散共分散行列」をもとにした
>主成分負荷量は,−1〜+1の範囲に納まらないようです.
>この場合,どのような基準で考えたらよいのでしょうか?

負荷量(loading)というのは軸との相関をいっています。ですから、絶対値が1以内のは
ずですが。HALBAU関係者の意見を聞きたいですね。

>halbauのマニュアル(多変量解析編)には分散共分散行列による分析に関しては,
>説明が書かれていませんでした.手元の多変量解析の教科書を5,6冊当たった
>のですが,いずれも,「主成分負荷量」という言葉は,全く登場しません.
>(唯一,一冊だけ「(固有値のルート)×固有ベクトルのことだ」とだけ,
>書かれている本があっただけです.)

どの教科書をあたったのでしょうか。教科書ではないですが、


(a)(主)成分負荷/成分相関(component loading)
田中豊・垂水共之編(1995)統計解析ハンドブック・多変量解析 Windows版
 共立出版 p92
C.チャットフィールド/A.J.コリンズ(1986)多変量解析入門 培風館 p65
Dillon,W.R. and Goldstein,M.(1984) Multivariate analysis. Wiley p34
Krzanowski and Marriott(1994) Multivariate analysis;part1 distributions, 
   ordination and inference. Edward Arnold. p85
 
(b)因子負荷量(factor loading)と言っている例
鷲尾泰俊・大橋靖雄(1989)多次元データの解析 岩波書店 p147
大松繁ほか(1986)理工学基礎多変量解析 培風館 p66
Stevens,J.(199)Applied multivariate statistics for the social sciences. LEA p364
Kline,P.(1994)An easy guide to factor analysis. Routledge. p36

(c)loading に言及しているがとくに名前を言っていない例もあります。
Everitt and Dunn(1991) Applied multivariate data analysis. Edward Arnold. p49


>教科書に載っている数値例データを

これが何をいっているのかわかりませんが、
高木廣文・柳井晴夫編(1995)HALBAUによる多変量解析の実践 現代数学社 第6章
にデータがでていますので、これを分析します。HALBAUの分析結果はこの本にでていて
(p87)、すべて絶対値が1以上になっています。

田中豊・垂水共之編(1995)統計解析ハンドブック・多変量解析 Windows版
 共立出版
のソフトで分析すると次のようになります。10主成分まででましたが、3因子までを掲
載します。

-----------------------------------------------------------
主成分ともとの変量との相関

                1          2         3     
プロっぽい     0.20921  -0.76672   0.59730 
カッコいい     0.42525  -0.56264   0.07102 
好き           0.94289  -0.24426   0.04476 
かわいい       0.75615   0.31286  -0.29495 
一般的         0.66658   0.62311   0.23843 
ミーハー       0.94147   0.21323  -0.09606 
初心者        -0.21235   0.88814   0.09594 
ダサイ        -0.66393   0.67679   0.18689 
嫌い          -0.60877   0.39763   0.47281 
分からない    -0.71814  -0.27728  -0.32264 
                                           
固有値      1157.00100 757.83840 180.70260 
寄与率         0.49477   0.32407   0.07727 
累積寄与率     0.49477   0.81884   0.89611 
--------------------------------------------------------------------
ついでに私がつくったSPSS用マクロの実行結果は次の通りです。
------------------------------------------------------------
   共分散行列の主成分負荷量 と 固有値
                  1            2            3
T1             .209         .767         .597
T2             .425         .563         .071
T3             .943         .244         .045
T4             .756        -.313        -.295
T5             .667        -.623         .238
T6             .941        -.213        -.096
T7            -.212        -.888         .096
T8            -.664        -.677         .187
T9            -.609        -.398         .473
T10           -.718         .277        -.323
固有値     1157.001      757.838      180.703
寄与率       49.477       32.407        7.727
累積         49.477       81.884       89.611
----------------------------------------------------------
四捨五入の範囲で一致しています。HALBAUがおかしいだけです。

香川大学経済学部
        堀 啓造
hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp

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