[fpr 573] Observed Power

Takayuki Nakata

中田@岡山大学です。

南風原さん@東大教育心理は書きました。「fpr571]

>その後,検定力分析で用いられる非心分布の非心度の式をみていて,
>たとえば一元配置の分散分析では(Nではなく)群の数によってp
>値と Observed Power の関係が変わってくるのでは,という感じが
>したので計算してみました。たとえば同じ60人という被験者を2
>群から6群までに分けて分散分析した場合,p=.05となる結果
>に対応する Observed Power が,以下のように系統的に変化するこ
>とが分かりました。                                          
>                       
>------------------------------------------------
> 群の数 各群の人数 合計人数 Observed Power
>------------------------------------------------                               
>     2        30          60        0.50346
>     3        20          60        0.58349        
>     4        15          60        0.63861         
>     5        12          60        0.68126        
>     6        10          60        0.71578                                   
> 
>------------------------------------------------
各群の人数が減ると power は低くなるのではないでしょうか。G・Power (Buchner,
A., Faul, F., & Erdfelder, E. (1996). G・Power: A priori, post-hoc, and comp
romise power analyses for the Macintosh (Version 2.1) [Computer program].
Trier, Germany: University of Trier.)で 1-way ANOVA, alpha = 0.05, 総評本数
60, effect size "f" = .25 で post-hoc power を算出した結果は次のようになりま
した。
------------------------------------------------
 群の数 各群の人数 合計人数 Observed Power
------------------------------------------------                               
     2        30          60        0.4779
     3        20          60        0.3744        
     4        15          60        0.3166         
     5        12          60        0.2778        
     6        10          60        0.2494                                     
------------------------------------------------
私の解釈が間違っていなければカイ2乗検定の場合も同じ傾向(自由度が大きくなる
にしたがい power が低くなる)が出ました。

岡本さん@金沢大学文学部は書きました。[fpr570]
>  「検定力云々は問題にされない」は、統計学的に有意な差が検出できた
>場合だからということです。
> 
>  私の場合、検定力は実験の前にチェックするのが現実的と考えます。
> 
>  予備実験で予め差の大きさなどの検討を付けておいてから、その差を
>ほぼ確実に有意差として検出するためには、サンプル数は最低どれくらいで
>なければならないか、などを調べます。1000以上とか、実行不可能と
>思われる数になるときは、実験心理学の理論上意味のある差であっても
>それを実証的に示すことは不可能となります。

私も岡本さんが発言されたように学生には予備実験・または先行研究の結果から(複
雑な計画では power を検定するのは難しくなりますが)できるだけ調査・研究を始
める前に effect size を推定し,power 検定をしてからサンプル数を推定するよう
に指導しています。また Cohen の言及しているように effect size について社会科
学者・行動科学者が重要視するようになったためメタ解析が重要視されてきているの
ではないでしょうか。また,私も Cohen の社会科学・行動科学の論文に effect siz
e について言及すべきであるという考えには賛成です。特に実際家たちは effect si
ze を重要視しているのではないでしょうか。
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Takayuki Nakata, Ph.D.

Graduate School of Humanities and Social Sciences
Okayama University

3-1-1 Tsushimanaka 
Okayama-shi, Okayama 700
Japan

Tel: 81-086-251-7456
Fax: 81-086-255-9903
E-mail: tnakata (at) ccews2.cc.okayama-u.ac.jp
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