[fpr 630] bootstrap

市川 雅教

市川@東京外国語大学です.

    [fpr 619] Re: bootstrap より
>狩野@筑波大学です
>
>応用の観点からは,「標本が得られると結論は一つ決まって欲しい.言い換え
>ると,標本が与えられた下では,それ以降のランダムネスは好まれない」とい
>うコンセンサス(?)があるのではないでしょうか.離散分布の下での検定で,
>有意水準をきっちりとαに合わせるために開発されたランダム検定というのが
>ありますね.検定統計量の値を知ったあとでさいころを振って,仮説の採択の
>可否を決める,という方法ですが,いまだに使われたのを聞いたことがありま
>せん.bootstrap 法もこれに似ていて,区間推定では,乱数よって信頼区間が
>違ってきます.得られたデータは確率現象の結果だと捕らえるのに,データが
>得られた後のランダムネスを拒否するというのは矛盾してますよね.理論家の
>私は,もちろんこの考えは受け入れられないのですが,その気持ちは分かりま
>す.

互に値の異なる観測値からなる大きさnの標本から,ブートストラップ
標本を取り出した場合に何通りつくれるか,そしてその中で最も大きな
確率はどれくらいか,を以下に紹介します.

          n
          2         3       0.5
          3        10       0.2222
          4        35       0.0940
          5       126       0.0384
          6       462       1.5*10^-2
          7      1716       6.1*10^-3
          8      6435       2.4*10^-3
          9     24310       9.4*10^-4
         10     92378       3.6*10^-4
         15    7.8*10^7     3.0*10^-6
         20    6.9*10^10    2.3*10^-8

    [fpr 627] bootstrap in SEM より
>狩野@筑波大学です
>共分散構造分析における bootstrap 法の適用可能性について探るため,実際,
>検証的因子分析モデルで解析してみました.データは,有名な
>Holzinger-Swainford(1939) の一部分で,AMOS のマニュアルにあるものを拝
>借しました.
>
>MLによるSEとbootstrap 法によるSEとでは結果がやや異なるし,
>bootsrap 法でも乱数によってやや違いが出てくることが分かります.

バイアスや標準誤差のブートストラップ推定値は,経験分布に
関して期待値を取っていますので,データが与えられれば,一意に
定まります.ただし,通常は解析的には求まらないので,
シミュレーションにより近似します.
上記の違いはシミュレーションの誤差であり,近似の精度を
あげたければ,抽出するブートストラップ標本の数Bを
大きくする必要があります.

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            東京外国語大学
            市川雅教
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