[fpr 812] sampling error

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。東大野球部快勝の翌朝で,気分がいいです。

Sachi Mizobuchi さんが以下のように書いています。

 >>  私が昔学校で習った標本誤差の算出法は、
 >> 
 >>     σ/√N 
 >> 
 >>  σ:母集団の分散の推定値
 >>  N:標本数 
 >> 
 >>  というものでしたが、これと上の式はどう関係しているのでしょう?

「標本誤差」という用語については,豊田さんから

 >> 標本誤差という言葉は,半分日常用語になっていて,定義がゆれています

という指摘がありましたが,溝渕さんがご質問のメールの題名に使った sampling
error の訳が標本誤差ですよね。つまり,母集団から限られた標本を抽出すること
で生じる誤差ということです。視聴率の例では,
  標本誤差 = 標本で得られた視聴率 − 母集団における視聴率
となります。

この標本誤差は,したがって母集団値が分からない限り,未知ということになりま
すが,標本誤差が確率的にどう変動するかについては,モデルを仮定した上で理論
的に導くことができます。そして,その変動をあらわす確率分布の標準偏差を標準
誤差 (standard error)と呼んでいるわけです。

また, 標本誤差 = 標本で得られた視聴率 − 母集団における視聴率 の式
から分かるように,標本誤差と標本統計量(標本視聴率など)は,定数である母集
団値の分ずれているだけですから,両者の確率的な変動は同じ分布で表現できます
(分布の横軸の目盛りが母集団値の大きさの分ずれるだけ)。したがって,標準誤
差はまた,標本統計量の確率的な変動の大きさをあらわすものでもあります。

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