[fpr 862] DNC Exam

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

センター試験の「数学II・数学B」にこういう問題がありました(第5問)。

「円いテーブルのまわりに12個の席がある。そこに二人が座るとき,その
二人の間にある席の数のうち少ない方をXとして確率変数Xを定める。・・・」

この問題は,二つの席の選びかたがどれも等確率である,と仮定すれば解ける
のですが,席取り行動の確率モデルとしては不適当とは思いませんか?

高校生が学習したのは等確率の場合だけでしょうから,試験問題としては特に
問題はないと思いますが,「現実の事象を確率的にとらえる」という教育目標
からすると良問とは思えません。大学のテスト理論の講義で,「5肢選択の問
題に正答する確率は?」という問いかけをしたとき,ためらいなく「五分の一」
と答えた学生がいましたが,等確率モデル学習の弊害かもしれません。もちろ
ん正解は「受験者の能力や知識のレベルによる」です。

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南風原朝和(東京大学大学院教育学研究科)

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