[fpr 878] データ解析と研究のリアリティ

A. Kamata

鎌田@ミシガン州立大学大学院です。

豊田さんが
>
 少し前までは手計算に,ほんの少し前まで計算機の習得に当てていた時間を,今こそ
> 理論の理解に当てる時代が来た,と思っているのですが....

と書きました。私も全く同感です。理論を理解するために必要な手計算・プログラミ
ングであるかを見極め(もちろんこれは教える人・本を書く人の仕事ですが)、そう
でないものはさっさと切り捨て、そのかわりに背景となる仮定や理論について深い理
解を得る、という方に目を向けるべきだと思います。

これに似た議論は、学習心理学者たちによって80年頃からされていますね。

私自身の観察を書きます。私がミシガン州立大学大学院で勉強を始めた7年くらい前
は、初学者あるいは統計を専門としない人を対象にした統計の授業では、コンピュー
タパッケージ(SPSS 4.0が出た頃ですが、SPSS 4.0
よりも使いやすいという理由で私の周りの教授陣は MINITAB
を教授用に使っていました)の使い方・アウトプットの数字の読み方程度でした。そ
れが3・4年前に SPSS 6.0
が出た頃には完全に、理論を理解する補助としてアウトプットを利用する、という姿
勢に変わったように思えます。

もちろんこれは私のまわりでのことで、教える人によっても違うと思います。聞いた
話ですが、同じミシガン州立大学の他の学部で、いまだに DOS 版 SPSS 4.0
を使って初学者に教えている人もいます。

余談ですが、最近 SPSS 8.0
がリリースされたと聞きました。ちょっとバージョンアップのペースが速すぎるよう
な気がしますが .... 

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A. Kamata
kamataak (at) pilot.msu.edu

3224-2D Trappers Cove
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tel/fax (517)393-8718
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