[fpr 946] 手回し計算機

岡本安晴

岡本@金沢大学文学部です。

  [fpr 945] 手回し計算機、に次のような箇所があります:

>1970年代に手回しというのは解せないですね。
>それはまさに「蛮勇」であって通常のこと
>とは思えません。いかがでしょうか?


  上の「蛮勇」との御意見、敢えて異を唱えたいと思います。

  私は1971年の暮れ頃、理学部(数学)の学生だったとき、
社会現象を表わすネットワークモデルのシミュレーション
を計算尺と算盤で行いました。
  その後、文学研究科に入学後、時間に余裕ができてから
大型計算機センターを利用してFORTRANでプログラムを組んで、
再度、計算しました。
  モデルに対する理解は、計算尺と算盤を使ってのときの
方が良かったように思います。

  1970年代中頃からSPSSなどのアプリケーションが京大の
大型計算機センターで使えるようになっていたと思います。
その頃院生だったのですが、因子分析のプログラミングに
必要な情報が先輩の教えてくれた文献では得られなかった、
FORTRANのソースリストは載っていても、その理論的な
説明がなかった(芝先生の御本を読んでいたらプログラ
ミングに必要な理論的なことが分かったのですが。
大変遅れ馳せながら、この冬、先生の御本を参考にして
プロマックス回転のプログラムを組みました)ので、
SPSSなどを利用していました。しかし、計算経過が
判然としない、小回りが利かないなど、いろいろ
不満に思っておりました。

  金沢大学に来てから、TSSでの利用が比較的容易になって
いたこと、プログラミングに必要な技術的情報も得られ
たことなどから、自分でデータ分析のプログラムを汎用機上で
組み始めました。使用言語もFORTRANからPASCALに換え
ましたが、これはパソコンと同じ言語を使いたいという
理由からでした。BASICという選択肢も可能でしたが、
汎用機(FACOM)のBASICは使いにくかった、当時のBASICは
行番号というものがあり、その管理が煩わしかったという
理由で使わなくなりました。今は、別の理由でPASCALの方が
やはりよいと思います。

  現在は、それほど複雑でないプログラムなら自分で組む
ということに満足しています。

  ともかく、計算はできれば紙の上で、というのがいいと
思っております。

  先日、豊田さんの最新(?、この春)の共分散分析の
御本(仕事場に置いてあって、これを書いている家には
ないので、正確な書名は確認できません)を見る
機会がありましたが、計算の具体的な例が書いて
ありました。
  大変分かり易く書かれていると思いましたが、
市販本ではないようなのが残念です。

  しかし、計算量が多いときはプログラムを組んで
計算機でということになります。

  私は、若い人たち、特に学生さんは、できるだけ
プログラムを自分で組むようにするのがよいと
思います。
  就職すれば、なかなか自分でプログラムを組むという
時間がとれません。私は、助手をしていたときは、
ちょっとしたプログラムはもう時間的余裕がなく、
SPSSやBMDに頼るという状態でした。

  パソコンのOSがWindowsなど32ビット化された今日、
昔は汎用機で組んでいたようなプログラムも家の
パソコンで作れるという時代です。

  こらからの人たちは、時間のある時にどんどん
プログラミングに挑戦して頂きたいと思います。

                         岡本 安晴
                         C00279 (at) simail.ne.jp


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