[fpr 1366] About ANOVA(SS)

前川眞一

DNC-ROM の前川です。

2 元配置の分散分析の unbalanced を SAS の GLM で行う場合、
 1) model y = a b a*b
と書いて type I の SS を用いると、
 1.1) y = mu + error
というモデル(要因 a による差は無視する、パラメタは全体の平均 mu のみ)
と
 1.2) y = mu + a + error
というモデル(要因 a による差を考慮)の残差を比較して、
その差が要因 a による平方和になります。
そして、次に 1.2) のモデルと
 1.3) y = mu + a + b + error
というモデル(要因 b による差も考慮)の残差の差が要因 b の平方和となりま
す。
最後に 1.3) と
 1.4) y = mu + a + b + ab + error
との差が交互作用の平方和となります。この場合、type I SS の要因 b は
要因 a がある時にさらに要因 b を追加することの有意さを検定するために用い
られる
ことになります。(交互作用はないこととして。)
このことを、要因 a の2乗和は他の要因に関して調整されていないが
要因 b の2乗和は要因 a に関して調整済みであるといいます。

同様に、
 2) model y = b a a*b
と書いて type I の SS を用いると、
 2.1) y = mu + error
というモデル(要因 b による差は無視する)と
 2.2) y = mu + b + error
というモデル(要因 b による差を考慮)の残差を比較して、
その差が要因 b による平方和になります。
そして、次に 2.2) のモデルと
 2.3) y = mu + a + b + error
というモデル(要因 a による差も考慮)の残差の差が要因 a の平方和となりま
す。
従って、この指定では要因 a の type I の2乗和が要因 b に関して調整済みと
なります。

このように type I SS はモデルの順序に依存します。
なお、交互作用に関してはどちらの指定でも要因 a と要因 b に関して調整済み
と
なっています。

 SAS の type II SS というのは、
要因 a の2乗和として 2.1 と 2.2 の残差の2乗和の差を、
要因 b の2乗和として 1.1 と 1.2 の残差の2乗和の差を
出したものです。すなわち、type II の平方和は他の要因(交互作用は除く)に
関して調整済みの2乗和のことです。交互作用の平方和は type I のそれと同じ
です。

 SAS の type III SS というのは、概念的には
全ての要因を含んだモデル
 3.4) y = mu + a + b + ab + error
の残差の2乗和と、それぞれの要因を除いたモデルの残差の2乗和の差のことで
す。
たとえば、要因 a の2乗和は 3.4 の2乗和と
 3.1) y = mu + b + ab + error
というモデルの2乗和の差となり、要因 b の2乗和は 2.4 の2乗和と
 3.2) y = mu + a + ab + error
というモデルの2乗和の差となります。
type III の SS は全ての要因に関して調整済みであると思ってください。
交互作用の2乗和は全て同じです。
(ただし、 SAS の GALM は階数を考慮しないデザイン行列を使うので、この
type III の SS は model y = ab b a とやってもでてきません。)

なお、どの2乗和を用いるかにより検定される仮説がそれぞれ異なります。
一番素直な仮説は type III の SS の仮説です。
詳細は行動計量学会第 20 回大会( 1992 )の発表論文抄録集の p162-163 に載
っている
私の原稿を参照してください。ただし、この発表は本人風邪のため取り消しとな
っています。

最後に Otsuka (at) Waseda さんの数値例ですが、晴坊と ANOVA4 で
要因 A も 要因 B も異なる2乗和がでています。従って、狩野さんの
> 交互作用の平方和が同じなので,Halbau for Windows は type II
>  , ANOVA4,STAR for WWW は type I かなと想像します.
という推測よりは、どちらかが balance の取れた場合の公式をそのまま流用し
ている
のではないかと考えた方が納得がいくと思います。

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Shin-ichi Mayekawa                                      前川眞一        
 Research Division,                                     大学入試センター
 The National Center for University Entrance Examinations 研究開発部    
 phone: 81-3-3468-3311, 81-3-5478-1284, 85,         fax:  81-3-5478-1297
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