[fpr 1379] 本質的なアンバランス

豊田秀樹

豊田@立教大学です

Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp> さんは書きました:
>堀@香川大学経済学部です。
>本質的にアンバランスという問題はわかったのですが、
>たとえばこの例で、
>(1)結局なにを知りたいのか? 
>(2)どんな仮説をもっているのか
>が見えません。
>このあたりはどうなっているのでしょうか?

>問題がいまいち見えてません。

マンションの例は本質的にアンバランスな例を挙げる為に使っていたので,
具体的に知りたいことはないのですが....問題は「アンバランスなデー
タを持って相談にくる多くの学生に,どうすればキチンとアドバイスできる
か」というもので,,,,いろいろな相談のケースがあったので,それらに
共通した問題設定が,私にも,まだできていません.昨日考えたことと合わ
せて問題をすこし整理しますと次のようなことです.

(1)分散分析は,数理的には,バランスのとれたデータに適用することが望ま
しいが心理・教育分野ではバランスが取れていないことが,本質的に重要な
データが多い.だから闇雲に,バランスが取れていないことを注意してはい
けない.
(2)本質的にバランスが取れない要因と,分析者の怠慢でバランスが取れてい
ない要因をハッキリ区別する習慣を確立して,後者には厳しく注意すべきだ.
(3)「本質的」と「怠慢」の区別は,研究仮説・目的によるだろう.たとえば
「中学生」「高校生」「大学生」という3つの水準の要因を考えるとき,発達
心理学の基礎研究の多くではバランスさせるべきであろうが,特定のゲームセ
ンターでのマーケティングが研究目的の場合はお客の分布に合わせてアンバラ
ンスなほうが「本質的」である.
(4)本質的にアンバランスな場合に要因が有意であることは,バランスがとれて
いる場合と解釈が異なる.アンバランスな要因が多くなるといずれにせよ解釈
困難になるのではないか.現状ではほとんど「他の要因の影響を無視できるバ
ランスがとれている場合」の解釈しかされていない.それでよいのか.ではど
うすればいいか.

"Haebara, T." <haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp> さんは書きました:
>分散分析の枠組みで言えば,重回
>帰分析は,交互作用のない加算的なモデルを設定した上で(通常は)タイプIIIの
>平方和を用いる方法と言えると思います。

Keizo Hori <hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp> さんは書きました:
>間接効果、直接効果を見るということでしょうか?

P291からP293の要因の分解表を「値段」をZ1にした場合と「魅力」Z1にした
場合で2枚かき,その表が10の分類のどれにあてはまるかを利用して,「値段
」「魅力」の「倍率」対する影響を解釈します.昨年の秋以降に4・5人の相談
者に勧めたところ,非常に効果があった(分かり易い解釈ができた)ので,統計
相談の臨床的側面からは,困ったときに使うと有効でした.わざわざ連続変数を
離散化して分散分析をする人が私の回りに多かったので,より有効であったのか
もしれません.

--
----------------------------------------------------------------------
TOYODA Hideki Ph.D., Associate Professor,     Department of Sociology
TEL +81-3-39852323 FAX +81-3-3985-2833,   Rikkyo(St.Paul's)University
toyoda (at) rikkyo.ac.jp 3-34-1 Nishi-Ikebukuro Toshima-ku Tokyo 171 Japan
----------------------------------------------------------------------

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。