[fpr 1381] カイザー基準

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

Re: [fpr 1380] Re: カイザー基準
またしても長文

Tokuhisa SUZUKIさん wrote ;

>Tacq, J.(1997) Multivariate Analysis Techniques in Social Science 
>Research. SAGE.
>
>この本,大昔に注文してすっかり忘れた今になって丸善が「入荷しました」
>というので引き取りに行きました.
>この本では,Kaiser's criterion と言ってますね(p.280).

チェック漏れでした。この本は独自なところがかなりありおもしろいでしょ。
因子分析は因果関係かというところでこの本を引用したのですが、それで買った
のではないですね。
因果としてとらえるほうはBollenがはっきりいってますね。ただし尺度構成の話
ですが。因子と項目との関係です。

Bollen は本でもいいようですが、次の論文のほうがクリアです。
Bollen,K.,& Lennox,R.(1991).Conventional wisdom on measurement: A 
structural equation perspective. Psychological Bulletin, 110(2), 
305-314.

Bollen のこの立場はGorsuch(1988)のいう因子実在派のように思える。
Gorsuch(1988)では mathematical versus scientific paradigms という軸と
Factors-Are-Real versus Factors-Are-Inventions という軸を設けている。

こういう対立は結構根深いでしょうね。


>三土修平(1998)『初歩からの多変量統計』第2刷(日本評論社)

>4変数2因子をEFAで識別させるとは

これにピンとこない人は
狩野さんの「因子分析において抽出できる因子数 に制限があるか」 
http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/lecture/faq/q2.html
または、
芝祐順『因子分析法 第2版』東京大学出版会(p75)


>小説家でもある著者のデータ例は岡本孝子の曲のデータだけれど,

この本はもっていないのですが、岡村孝子かな?

芝祐順『因子分析法』がでたころに比べて、exploratory factor analysis も随
分多くのことがわかってきたので、ある程度高級だけど手引きになり、かつ検証
的因子分析法もふまえながら、検証的因子分析についてはわずかしかふれない
『探索的因子分析法』の本が欲しい。

たしかに柳井ほか『因子分析-その理論と方法-』朝倉書店(1990)もいい本なんで
すが、あまり実践的でない。Gorsuch(1984)Factor analysis.2nd ed. の改訂版
みたいなのがほしい。

もちろん不適解についての解説がかなり必要。そういうのがないと今の探索的因
子分析のレベルをうまく利用できないのではない。

バリマックス回転解を盲信する間違いについてはっきり書いておいてほしい。よ
く知らないユーザや本にこのタイプの間違いが結構多い。この盲信を砕くのは、
モデルづくり系と斜交解なんですが。ただ、斜交解の結果は見るべきだけど、最
終的なものが斜交解にすべきかどうかは大いに検討するべき。どっちかというと
Nunnallyの立場によっている。つまりできる限り直交解でいこうという立場に今
はいる。

それとVelicer の一連のシミュレーション
Velicer の論文の一覧
http://www.uri.edu/research/cprc/Publications/Authors/velicer.htm

尺度をつくるときに考慮することを考えると、
鈴木督久さんの
「企業イメージ構造の検証的分析」
http://www.nikkei-r.co.jp/report/9803/image.htm
において、過去の因子が再現されなくてもあまり不思議ではないですね。もとが
3項目で因子にしているのだから。これは共通性が飽和していないと再現の可能
性は低いですね。Gorsuch(1988)でいっている6項目で構成するというのは
Velicer らのシミュレーションからしてもいい基準でしょう。
 実際の質問紙作成ではあまり項目が多いのは困るので、なるべく少ない項目に
したいのですが、尺度としてはやはりある程度の項目がほしい。
 など、因子分析や主成分分析から尺度構成について語らなければいけないこと
はほかにもたくさんあるでしょう。たとえば柳井(1994,p43-46)
 そのあたりもたっぷりほしい。


Bollen,K.A.(1989). Structural equations with latent variables. Wiley.
Bollen,K.A.,& Lennox,R.(1991). Conventional wisdom on measurement: A 
  structural equation perspective. Psychological Bulletin, 110(2), 
  305-314.
Gorsuch(1983).Factor analysis(2nd ed.). LEA.
Gorsuch,R.L.(1988). Exploratory factor analysis.in J.R.Nesserlroade & 
  R.B.Cattell(Eds.),Handbook of multivariate experimental psychology(2nd
  ed.). Plenum.
Nunnally,J.C.(1978). Pscyhcometric theory(2nd ed.). McGraw-Hill. 
柳井晴夫(1994).多変量データ解析法. 朝倉書店
柳井ほか(1990).因子分析-その理論と方法-. 朝倉書店.

Velicer, W. F. and J. L. Fava (1987). An evaluation of the effects of
  variable sampling on component, image, and factor analysis.
  Multivariate Behavioral Research 22: 193-209.
Velicer, W. F. and J. L. Fava (1998). Effects of variable and subject
  sampling on factor pattern recovery. Psychological Methods 3(2):
  231-251.

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