[fpr 1392] 反復測定による分散分析の手続き

岸本淳司

岸本@SASです。

全く蛇足の話ですが、反復測定の解析法について今から学ぶのであれば
混合モデルの勉強をされることをお薦めします。反復測定の解析法は、
歴史的に

1.分割実験のデータとして(球面性を仮定して)分散分析

2.自由度を調整した1変量検定
  多変量検定

3.混合モデルの最尤推定

という順で進化してきました。小林さんが 2.の方法論も論文中で目に
されないのは、おそらく 1.の方法で満足している研究者が多いからで
しょう。ところで、2.の方法には、欠測データがあると扱えないという
(分野によっては)重大な欠陥があります。たとえば、ある患者さんが1週間
おきに病院を訪問してそこでデータをとるという状況で、患者さんの都合に
よって来院されないということが非常に頻繁にあります。1回でも欠測が
あるとその患者さんのデータをまるごと捨てなければならないというのでは
実用になりません。混合モデルの最尤推定による方法にはさまざまな応用・
拡張・利点がありますが、最大の特徴は欠測があるデータ(極端な場合、
1回しか測定していないデータ)でも解析に寄与できることです。

もし混合モデルによる反復測定データの解析にご興味があれば、

岸本 淳司(1996) PROC MIXED 入門, SUGI-J'96/IDS Conference'96論文集,
  日本SASユーザー会.

を一読してください。

混合モデルは新しい方法なのでよい教科書がなかったのですが、最近は

Littell,R.C., Milliken,G.A., Stroup,W.W., and Wolfinger,R.D.(1996)
  SAS System for Mixed Models, Cary, NC: SAS Institute Inc.
Verbeke,G., Molenberghs,G.(Eds.)(1997) Linear Mixed Models in
  Practice A SAS-Oriented Appproach, Springer-Verlag.

のような良書が出版されています。

ξ
■ゞ(^_^) Kishimoto   SAS Institute Japan  The opinions expressed here
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(03) 3533-3831        Chuo-ku Tokyo 104    those of SAS Institute.


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