[fpr 1399] 反復測定による分散分析の手続き

岸本淳司

岸本@SASです。

> SAS のマニュアルはRao の雑誌論文には言及しているけど本には言及していない。この2冊とも未
> 見です。

SASで言っている混合モデル(欠損データを含む反復測定)は、元々ハーバードの
人たちがEMアルゴリズムで試みていたのですが、Stroupらによって尤度関数を
直接最適化した方が速いことがわかってきて、SASにも取り入れられたものです。
非常に新しい話です。ですから、マニュアルでは雑誌論文しか引用するものが
なく、古い本にはその理論は載っていません。混合効果と反復効果とを同時に
最適化することができる商用ソフトウェアは、おそらくSASの PROC MIXED だけ
だと思います。実用的な本が PROC MIXED を使って記述されるのは当然だと
思います。最近の混合モデルの本としては、

Khuri,A.I., Mathew,T., and Sinha,B.K.(1998) Statistical Tests for
Mixed Linear Models, Wiley.

もありますが、どうも私にはピンときませんでした。

私は現在SASの所属していますが、fprではSASの利益を代表する発言はしない
つもりです。しかしながら、職業上、SASに関することに偏って詳しいので、
本の紹介も偏ってしまうかもしれません。その点はお許し下さい。


> SASについて質問なのですが、
> SASのproc mixed では、 固定効果と変量効果は対比をつくることができますが、repeated に関し
> ては対比はできない(6.10)ようですが、repeated を対比させるときはrepeated を変量効果にする
> するのでしょうか? どっちにしても結果は見にくそうですが。

ちょっとよく意味がわかりませんが???

repeated に関する対比というのは、誤差構造に無相関以外の構造を入れておいて、
固定効果の対比をとることではないのですか?

> 
> いずれにしても心理学の研究だと多重比較が柔軟にできるかどうかが利用の鍵になります。反復測
> 定の分散分析はMANOVAのほうがいいとわかっていてもなかなか使われないのも、多重比較ま
> での分析手法をわかりやすく説明している本を知らないからではないでしょうか。

反復効果の水準間で多重比較をするには、水準間に自然な相関があるので
難しいのです。推定した相関を真の値として多重比較を構成することはで
きますが、今度は任意の相関構造での多変量正規分布の積分計算を数値的に
求めなければいけないという難問が待っています。まあ、今では Hsu の
近似とか、コンピュータシミュレーションで解決できます。

反復測定にMANOVAを使うということは、
1. 相関構造として無構成を使うということであり、検出力が落ちる
2. 欠測があるとその観測個体全体を外さなければならない
という欠点のため、あまり魅力はないと思います。また、時点を多変量
として扱うと、当然時点間の多重比較というのはできないと思いますが、
私が勘違いしているのでしょうか。

ξ
■ゞ(^_^) Kishimoto   SAS Institute Japan  The opinions expressed here
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