[fpr 1404] 「理屈はともかく結論を教えろ」について

岡本安晴


  岡本@金沢大学です。

  ROMに戻る前にもう一言。

>(i) 数学的違い(モデルの違い,仮説の違い)はどうなっているのか?
>
>(ii) 直感的理解・説明は可能か?
>
>(iii) 何故答えが出ないのか(何故 best なものが無いのか)?

  上記(i)に関しては、狩野さんのおっしゃるように数学的に答を示す
ことができます。
  (ii)については、直感に個人差があるので微妙な問題ですが、質問者・
解答者の間での共同作業として、両者にその気があれば、ある了解に達する
ことは可能だと思います。
  (iii)についてですが、これに付いて個人的な経験を書いておきたく思い
このメールを投稿しました。

  修士論文でのデータ分析のとき、幾つかのパラメータ値の推定法を同じ
データに適用したことがあります。このとき、最尤法は不安定だな
という印象をもちました。以後、最尤法の使用は長い間避けていました。
  柳井・繁枡・前川・市川「因子分析」,1990の8.1節「データの分布に
ついて」では幾つかの手法についての注意が書かれています。一部だけを
引用するのは誤解のもとになるので避けたいのですが、その中の次の
一文を引用します。

  このような場合、実際の探索的応用の観点からは、最小二乗法
  (主因子法)を用いることが好ましいといえるかもしれない。

  狩野さんは最尤法に対して好意的立場の研究者であると理解して
おりますが、私は上の文を見たとき、昔の修士論文でのデータ分析
のことを懐かしく思い出しました。
  私も、現在はモデルの選択を自動化できるということから最尤法
が使えるデータ分析を主としておりますが、確率モデルの設定と
パラメータ推定などに問題があるときは他の方法を用いることに
なります。
  つまり、(iii)の問題は、万能薬のような答えが期待できる
ものではなく、個々のデータ、問題に対してケース・バイ・ケース
で考えられるべきものだと思います。
  データ分析法に付いて抽象的に聞かれたとき、いつも答えに
戸惑っています。
  「具体的にどのようなデータなのですか」
と聞きたくなりますが、論文の査読の関係があるのかな、と
感じてしまうと、それもできません。

岡本 安晴
c00279 (at) simail.ne.jp





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