[fpr 1411] 重回帰の交互作用

南風原朝和

南風原@東大教育心理です。

変数の積を予測式に入れることによって,交互作用を表現・評価
する方法が紹介されましたが,2点ほど質問させてください。

Toyoda Hideki さんが以下のように書いています [fpr 1406]:

》1つ関連話題を提供いたします.重回帰分析の場合は,ほんのちょっとした制約を
》課すと交互作用項を入れても,解釈が複雑になりません.
》
》z = a + bx + cy + dxy + e 
》
》のような交互作用項 xy を含むモデル(x と yは平均0にしておきます)を考えます.
》x と y が2変量正規分布に従っているとすると,xと xy, y と xyは無相関になり
》ます(semのソフトでそういう制約をいれます.だから2変量正規分布に従っていな
》いと適合度が下がりますので,それを利用して仮定のチェックをします).したがっ
》て交互作用の説明率は標準化したdの2乗で簡単にもとまります.

質問1:説明変数間の相関が問題になるのは標本のレベルであって,母集団の
レベルではないと思います。したがって,2変量正規分布においてxyがxお
よびyと無相関になるとしても,そこから得られた標本では必ずしも無相関に
はならないので,xyの説明率を上記のように単純に求めることはできないの
ではないでしょうか。

》1つ例をあげます.今年,私の指導で卒論を書いた学生のデータで
》z:集団依存・同調性
》x:自信のなさ
》y:孤独感
》というのがあり,計算したところ,bは正,cはほぼゼロ,dも正という結果を得まし
》た.他の要因と独立に解釈できるdの(交互作用の)効果とは,すなわち「自信がな
》くて孤独な人は集団依存・同調性が高いが,自信があって孤独でない人も集団依存・
》同調性が高くなる傾向がある」ということであり,小数の後者がサークルなどのリ
》ーダーに成るのではないかと,指導者は集団依存するのではないかと..と解釈し
》ました.

質問2:z' = a + b(X-Xbar) + c(Y-Ybar) + d(X-Xbar)(Y-Ybar) という予測式
においてdが正になることをもって,集団の平均からの偏差がxもyもプラスで
積がプラスになる人(自信がなくて孤独な人)と,偏差がxもyもマイナスで積
がプラスになる人(自信があって孤独でない人)が,zに関して同様な傾向をも
つと解釈していますが,このような解釈は妥当でしょうか。予測式を仮にxとy
の素点を用いて z" = a' + b'X + c'Y + d'XY  とすると,d' = d となると思い
ますが,この後者の予測式からは上記のような解釈は出て来ないですよね。前者
の予測式は予測曲面においてなんら特別な点でない (Xbar, Ybar) に何か特別な
意味があるかのように思わせ,解釈を誤らせる危険があるように思うのですが...。

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南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 
〒113-0033 東京大学 大学院教育学研究科
TEL:03-5802-3350 FAX:03-3813-8807

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