[fpr 1493] SASによるロジスティック回帰分析

小野裕亮

(株)SASインスティチュートジャパンの小野です。

公共のメーリングリストにて、特定の商用パッケージを販売している企業
に所属している人間が、下記のような質問に投稿するのはまずいかもしれ
ませんが、、、、まずい場合には御指摘下さい。また、その分を割り引いて
読んで下さい。

In message <199908270216.AA00017 (at) lsp1.lynx.let.hokudai.ac.jp>
   "[fpr 1492] SASによるロジスティック回帰分析"
   ""NAKANISHI,Daisuke" <nakanisi (at) lynx.let.hokudai.ac.jp>" wrote.

> --- Cut by Ono ---------------
>
>つまり、パッケージソフトではこのような分析をそのままでは行うことができない、
>ということですね。
>

 通常のロジスティックモデルですので、普通の流通している統計パッケージ
であてはめることができます(といっても、私が確めることができるのはSA
Sだけですが、、、)。そして、ロジスティックモデルに関しても、パラメータ
の線形仮説に関しては、検定も行うことができます(くどいようですが、私が知
っているのはSASだけですが、、、。SASのなかではプロシジャによって、
ワルド型の検定しかできないもの、ワルド検定も尤度比検定もできるものがあり
ます。CATMODプロシジャはワルド検定しかサポートしていません。対数尤度
は計算されるので、複数回実行すれば尤度比検定もできますが、、、)。
 
 でも、ロジスティックモデルでパラメータ数が相対的に多い場合には、最
尤推定量の性質が悪くなる(どれぐらい悪くなるのかは、私は全く分かって
いませんが)以外にも、「説明変数(or説明変数の線形結合)によって応答
変数が完全に分離してしまう」ことが起こる可能性が高くなるのではないか
と思います。

 ところで、「このような形」のデータ( すみません、正式な呼び名が分か
りません。個人をブロックとした乱塊法データと見なすこともできるような
感じの反復測定データで、しかも時間毎に共変量が測定されているデータ?)
を扱うには、通常のロジスティック分析の他にも、
 
  1. 個人を層とした「条件付きロジスティック」分析を行う。
   (この方法では、被験者によって層別されるために、個人の効果が
        推定されませんが、、、)
  2. 個人を変量効果として、「一般化-混合モデル(generalized mixed
      model)」(例えば、正規-ロジスティックモデル)をあてはめる
 
といったことも考えられるかもしれません。また、少し視点を変えて、この
場合は不適切かもしれませんが、

  3. 同一被験者内の相関だけを考慮して、「GEE推定」を行う

こともあるのかもしれません (ちなみに、1.と3.は、Version 6.12のSAS
でも行えます。2に関しては、Penalized Quasi Likelihood推定値という推定
値を計算するためのサンプルマクロ(GLIMMIX)がありますが、PQL推定値自体
は、、、????)。


---以上、宜しくお願い申し上げます。

                            (株)SASインスティチュートジャパン
                                          テクニカルサポート
                                                   小野裕亮
   					e-mail:jpnyco (at) jpn.sas.com


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。