南風原@東大教育心理です。 > 岸本@慶応大です。 > > 統計的検定のp値を確率論的に根拠づける枠組みは2つあります。 > 1. ランダムな標本抽出 > 2. ランダムな条件割付 男女間の平均値差の検定をしたり,2変数間の相関の有意性を検定し たり,多変数間の相関に基づいてモデル適合の検定をしたり,という 場合は,上記の2つの枠組みのいずれにも当てはまらないことが多い ので,そういうときはどう考えるべきか,というのが問題として残る と思います。 昨年も,関連した話題がありました。 http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/fpr1998/author.html の南風原の欄にある fpr1125, 1146, 1152, 1154 等が関係していま す。 ところで,実際のデータ収集において確率論を適用できる手続き的根 拠がない場合,検定や推定に全く意味がないかというと,どのケース でも同じ程度に無意味ではないように思います。変数の内容や統計量 の種類によって,意味のある程度が異なるのではないかということで す。 たとえば,全国の6年生を母集団としながら,標本としてはある特定 の小学校の6年生全体を調査対象とする場合を考えてみます。このと き,その母集団における生理的指標間の相関について推定・検定を行 う場合と,その母集団における平均IQが100を越えているかどう かについて検定を行う場合とでは,前者のほうが許せる感じがします。 これは結局,注目している変数および統計量に関して,母集団に対す る標本の代表性ないしは一般化可能性を評価していることになります が,こうした評価は非統計学的なものですから,厳密な形で議論する のは難しいでしょう。 ---- 南風原朝和 haebara (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp 電話:03-5841-3920 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院教育学研究科
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