基本的な問題について、議論があるのはいいことだと思う繁桝@東大駒場です。 さて、湯浅さんと岡本さんの議論がありましたが、湯浅さんは無作為割り当てが あればp値も意味があり、比較もできるということをいいたいのでしょうか.その 点では誰も文句を言わない、一致していることだと思います.問題は、それでは、 たまたま知っている幼稚園で3歳児と4歳児とを比べる実験は統計的検証の対象に ならないかどうかです。 私は既にあるデータをも確率変数とみなすアプローチは、そうする際に常に慎重 でなければならないが意味があることと思います.最初に提起された疑問はここに あったのではないでしょうか. なぜ意味があるかというとそれによって有用な知見が得られるからとしかいいよ うがないのですが. それから、確定したデータの背後に母集団を仮定して一般化する方法は岡本さん は統計学ではないと言われます.統計学ではない”常識的判断”は、しばしば、統 計的判断を縛る上位に位置しますが、他の幼稚園児でもこの比較がどの程度の不 確定性の上で成り立つのか、予測するときどの精度で予測できるのかというよう な定量的な推論にはやはり統計的モデルの上で議論したいところです.そのような 時、確定したデータの背後にいわばポストホックに統計モデルを仮定してもいい のではないかと思います。 統計モデルの構成においては、わかっている差異はできるだけSystematicな部分 に吸収し、残差部分に関する判断によってiidモデルを構成すればいいのではないかという風 に思うのですが、これはかなり変わっている考え方なのでしょうか.
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。