岡本@金沢大学です。 追試について、実験心理学に従事している立場から 書かせて頂きます。 (1)統計学的な観点と、 (2)実験法の観点 に分けてみます。 (1)統計学的には、追試によって複数の結果が集まれば メタ分析(芝・南風原「行動科学における統計解析法」、 第11章)を行うことができます。これによって、複数の 検定結果全体を踏まえた統計学的判断が可能になります。 (2)追試といっても、すべてが全く同じというわけでは ありません。実験者が異なりますし、被験者も異なります。 実験デザインまでも異なることがあります。追試が異なった 結果を示すとき、研究者・実験者はその違いをもたらした 要因の探求に努めます。このことが研究の発展につながると 思います。 (1)は、追試によってより信頼性の高い判断が得られる 可能性を示すものです。 (2)は、追試が同じ結果である場合は信頼性を高める 可能性を示すものですし、異なった結果である場合はそれらを 統合する新たな理解の得られる可能性を示すものです。 以上のように、私も追試は重要であると考えております。 学生を指導する時は、基礎技術の習得の目的もあって、 追試(データの分析法も含む)を厳格に行うことを 勧めたいと思っております。 金沢大学文学部 岡本 安晴
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。