[fpr 1570] 基礎的なことですが

岡本安晴


  岡本@金沢大学です。

  追試について、実験心理学に従事している立場から
書かせて頂きます。

  (1)統計学的な観点と、
  (2)実験法の観点

に分けてみます。

(1)統計学的には、追試によって複数の結果が集まれば
メタ分析(芝・南風原「行動科学における統計解析法」、
第11章)を行うことができます。これによって、複数の
検定結果全体を踏まえた統計学的判断が可能になります。

(2)追試といっても、すべてが全く同じというわけでは
ありません。実験者が異なりますし、被験者も異なります。
実験デザインまでも異なることがあります。追試が異なった
結果を示すとき、研究者・実験者はその違いをもたらした
要因の探求に努めます。このことが研究の発展につながると
思います。

  (1)は、追試によってより信頼性の高い判断が得られる
可能性を示すものです。
  (2)は、追試が同じ結果である場合は信頼性を高める
可能性を示すものですし、異なった結果である場合はそれらを
統合する新たな理解の得られる可能性を示すものです。

  以上のように、私も追試は重要であると考えております。

  学生を指導する時は、基礎技術の習得の目的もあって、
追試(データの分析法も含む)を厳格に行うことを
勧めたいと思っております。

金沢大学文学部
岡本 安晴





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