大西弘高@佐賀医科大学総合診療部と申します. 最近,追試研究の必要性や,研究の質についての発言が続いて おりますが,臨床疫学についての湯浅さんの発言もありました ので,少しコメントさせていただきます. 医学的には,医学的研究の結果を医療に用いるという目的で, 研究結果をプールして無料で提供する国際プロジェクトが 進行しております.コクラン共同計画と言われるものがそれです. 単に研究結果のみでなく,無作為抽出や無作為割り付けと いった方法論からも検討されたものであり,方法論に問題が ある研究結果は採り上げられないということになっています. 医学的研究は,非常に広い領域を含んでおり,目的変数を 生物学的反応に定義したものから,心理学的反応に定義した ものまであるように思います.ただ,研究の結果が出ることに よって,世界中の医師の行動(治療選択など)が変わるという 点で,研究の質の吟味が非常に重要になっているということが 臨床疫学の最も大きなポイントです. ただ,心理学的反応を目的変数とした医学的研究の質は, みなさんの議論のレベルについていける状況ではないように 感じております.今後とも,色々とこの場で勉強させて いただきたいと思っております. -- 佐賀医科大学総合診療部 大西弘高 oonishih (at) post.saga-med.ac.jp 〒849-8501 佐賀市鍋島5-1-1 Tel 0952-34-3238 Fax 0952-34-2029
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