豊田@早大心理です 元論文の (確証度の予測値)= 0.77**(類似度)+ 0.06(被覆度) という情報だけ利用すると,構造方程式モデルの観点からは モデルA(「被覆度」は原因変数でない) 「類似度」ー>「確証度」 モデルB(「被覆度」は原因変数でない) 「類似度」ー>「確証度」かつ「類似度」ー>「被覆度」 モデルC(「被覆度」は原因変数である) 「被覆度」ー>「類似度」ー>「確証度」 という3つの可能性が残ります.柳井氏はこの状況で「被験 者が確証度の判断に類似度を利用している場合には,被覆度 の利用は確証度の予測を高めるものとはならない」と解釈し ています.この解釈は,著者の説明が不十分であったにも関 わらず,上記3つのどのモデルでもなり立つ極めて配慮の行 き届いた解釈であり, Shin-ichi Ichikawa さんは書きました: >穏当で別に問題ない は,明らかに柳井解釈の過小評価です.言い換えるなら著者 の用意した元論文の記述から導けることはこれで精一杯です. 論文中で類似度と被覆度の関係を述べることは本質的に重要 です.何故ならばその相関が実質的に0であればモデルBと モデルCは,その時点で消え去り,相当程度純粋に統計学的 に(実質科学的知見を駆使せずに)「「被覆度」は原因変数 でない」という結論を平坦に導けます. 一方,類似度と被覆度の相関が実質的に0でない場合は(こ ちらが真実だったのですが)モデルAだけ消え去り,「「被 覆度」は原因変数であるのかないのか」が統計的には決着が つかない状態のみが残り,実質科学的考察にたよる茨の道が 始まることになります(これはこれで重要です).元論文は 直ぐに決着する平坦な道か,あるいは茨の道かの最初の分岐 点すら示さない解釈をしてしまったということです.統計に 詳しい読み手は,まずその分岐点を知りたいので,稚拙な印 象は免れません. Shin-ichi Ichikawa さんは書きました: 上記の柳井先生の記述は「誤り」であるとはっきり言 うべきだと思います。 類似度と確証度の単相関係数が有意な相関を持たない場合を 除いては(統計的にはユニークに定まらないというという意 味で)誤りである.と解釈すれば,柳井氏の評価が「誤り」 であるとは言えないというのが小生のメタ評価です. 「「誤り」という評価は「誤り」か否か」というメタ評価 は「誤り」という言葉を柳井氏がどう定義していかに依存し ています(「天皇を中心」「神の国」の真意・定義は総理し か分からないのといっしょです). Shin-ichi Ichikawa さんは書きました: はっきり言う ことは,オーディエンスには無理ですので,直談判なさる ことをお勧めします. -- -------------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Lieterature, Waseda University toyoda (at) mn.waseda.ac.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan --------------------------------------------------------------------------
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