[fpr 1705] 相関係数の算出方法と解釈

Toshio Yoshida

fprの皆様

兵庫教育大学の吉田寿夫と申します。

ごくごく最近,この会に加わったばかりで,
岩男先生のご論文の内容については存じませんが,
先日受信いたしました南風原先生のコメントに関連したものとして,
古く,かつ手前味噌ですが,以下の拙著をご参照くださればと存じます。

廣兼孝信・吉田寿夫 1984 印象形成における手がかりの優位性
  に関する研究 実験社会心理学研究,23, 117-124.
大坪靖直・吉田寿夫 1990 印象形成における手がかりの優位性
  に関する研究 実験社会心理学研究,30, 25-33.

前者の論文では,各個人内で算出した相関係数の平均値と
評定値の集団平均を用いて算出した相関係数は,
かなり異なっておりました。
そして,前者の論文にも記しましたが,私としては,
「手がかりの利用」といった個人内の心理過程を推測するためには,
基本的には,各被験者内において相関分析を行ない,その後で,
その一般的傾向や個人差に関する分析を行なうべきだと思います。
個人内の心理過程について迫ろうとしているのだから,
諸変数間の個人内の共変関係に基づく推論が基本だと考えます
(一般に,個々の被験者には負担をかけることになるでしょうが)。

また,上記以外にも,当方の手元に,このことに関連して,
実際に得られたデータを種々の方法で分析した結果を
まとめた資料がございます。

なお,事情をよく知らない不届き者が,的外れなことを書いて
しまっていないことを,祈ります。

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