豊田@早大心理です 佐藤達哉さん: Hidemichi Yuasa さんは書きました: >心理学論の誕生〜「心理学」のフィ−ルドワ−ク〜 >著編者: 佐藤達哉、渡辺芳之 、尾見康博 >出版社: 北大路書房 間接引用で恐縮なのですが http://www2.justnet.ne.jp/~shozo_owada/fieldwork.htm における211〜212ページ -------------------------------------------引用ここから 佐藤[達哉氏] ぼくは、某達心理学研究(笑)という学術誌の 常任編集委員をしてたことがあるんだけれども、共分散構造分析 が使われ始めた頃は、使っている人が使い方というか内容を間違 えてることがあった。たとえば実際に測定した変数と構成概念の 間の矢印の方向っていうのか因果の方向っていうのか、それを全 く理解してないで逆に考えている人がいたりしたわけですよ。… 論文で言ってることが全然分からない。… 渡邊[芳之氏] そんなの落とせば良かったのに(笑)。 佐藤[達哉氏] ホントは落としたかったけど、他の2人のレフ リーがほとんど手放し状態でホメてるのよ(笑)。本来なら2人 が「採択」と言っていればそのまま掲載されてしまうのだけれど も、それだけは勘弁してほしかったので、「修正再審査」にして、 書き直してもらった。 -------------------------------------------引用ここまで 発達心理学研究(ですよね)で共分散構造分析が使われ始めた頃 は散発的ですから,数が少なく小生はそれらを全て読んでいます. それを念頭に反論(懸念)を述べます. 結論から申し上げますと,共変動がある2つの変数の間には, 一応の理論を踏まえ(敢えて無視し)て,どちらから矢印を引 いても良いのです.実効が理論に優先することはしばしば あることです. たとえばランドサット(偵察衛星)のリモートセンシングがそれ です.物理の理論からは 「戦車・核施設がある」ー>「反射波の特徴」 であることは明らかですが,実際には 「反射波(予測変数)」ー>「地上の物体(基準変数)」 と構造方程式を作ります たとえばボイラー制御がそれです.理論的には明らかに, 「ボイラー内温度」ー>「ボイラー表面温度」 ですが,実際には測定の容易な表面温度から,ボイラー 内の温度を予測するように矢印を引きます. 心理学でもDMS4がそれです.理論的には 「病気」ー>「症状」ですが,実際には 「症状」から「病気」に矢印を引きます.それが診断です. 理論と(因果と)逆の矢印を引くことを因果関係と呼ぶか否かは, とりあえず棚上げにしても,少なくともそれは論文のなかで奨励され るべきです. 「某達心理学研究(笑)」とは書かずに,やはり「発達心理学研究」 と書くべきです.また共分散構造分析が使われ始めた頃は散発的です から,数が少なく著者が実質的にほぼ特定されています.周囲の人も 気づいているのに匿名では反論できません.反論の機会を奪って,攻 撃することはアンフェアです.実際の論文名・著者名と共にfprML に(この記事に対しての)反論を期待します. -- -------------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Lieterature, Waseda University toyoda (at) mn.waseda.ac.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan --------------------------------------------------------------------------
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