岡本@金沢大学文学部です。 実験心理学において理論的なことに興味をもっているものとしての 立場から、豊田さんの今回のご意見には納得できません。 >気圧計の変化を目で確認することと,雨が降ることの関係を,もし >南風原さんが「相関」と呼ぶなら争点はなくなります.同じ物を違 >った呼び方をしているだけです. 私はこのようには理解しません。 天気の因果関係を共分散構造の式のように本質的に1次式によって (1次式以外は適当な項で導入するとしても、それらの項の1次式として) 相関関係の構造を再構成するものと、物理学的に気圧の変化と雨との関係を 説明することとは本質的に異なると思います。前者だと高々精度のよい予測式が 得られるだけです。後者の場合、気象現象におけるさまざまな物理学的 要因の関わり方が物理現象として理解できます。 予測式の場合は、その予測式の得られた条件が変わるとその予測式の 精度は不明になります。物理学的に理解されているときは、物理法則が 変わらない限り有効です。しかし、現実には気象現象は複雑すぎて適当な データ分析モデルで予測する方が今はよい場合もあるのでしょうが、 計算機の進歩により物理学的理論に基づくシミュレーションによる 予測の現実性が高まっていくものと思います。データ分析モデルに よる予測はあくまで便宜的なもので、現象の本質的なメカニズムの 理解を目指すものではないと思います。 >ありがとう御座います.SASマクロの中身はブラックボックスで >かまいません. 中身がどのようなモデルなのか、SASマクロを用いないで、 普通の数式による表現も必要であると考えます。これでは、 統計学を理解せずにアプリケーションソフトで検定結果を得て 満足することと同じです。 豊田さんは、学生に統計学の考え方は教えずにアプリの 使い方だけを教えているのですか? 金沢大学文学部 岡本安晴
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