南風原です。 TOYODA Hideki さんからの引用: > Toshio Yoshida さんは書きました: > >基本的には,既に南風原さんが書いてくださったように, > >「(予測の)役に立つ相関関係」を「因果関係」と呼ぶか否か > >ということがポイントかと思います > > いえ,そうではありません.もし「気圧が変化した > から雨が降った」という表現が気圧計を見るという > 行為を暗に含むなら,(もちろん含まざるを得ない > ので)「きゃーるが鳴くんで雨ずらよ」と同等であ > り前者を因果関係と呼ぶなら後者も呼ばねばならな > い,という主張です. この問題で「因果関係」と呼んでもよいと思われるのは, (1) 気圧の変化 → 気圧計の針の振れ (2) 気圧の変化 → カエルの鳴き (3) 気圧の変化 → 降雨 の3通りではないかと思います((2)のほうはそういう因果関係が あるかどうか,私にはよく分かりませんが)。 (1) と (2) のそれぞれ結果側の「気圧計の針の振れ」と「カエ ルの鳴き」は,「降雨」の予測に役立つ可能性のあるものです が,それら自体が原因となって「降雨」が引き起こされるという メカニズムは考えにくいので, (4) 気圧計の針の振れ → 降雨 (5) カエルの鳴き → 降雨 は因果関係とは呼ばないほうがよいと思います。(4) と (5) は 形式的には同じ「相関関係」です。それぞれが予測にどれだけ 有用かは,(1) と (2) の因果関係の強さ,言い換えれば,「気 圧の変化」の観測指標としての「気圧計の針の振れ」と「カエル の鳴き」の妥当性によります。 ---- 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp Tel/Fax:03-5841-3920 東京大学大学院教育学研究科 (〒113-0033 文京区本郷 7-3-1)
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