南風原です。 TOYODA Hideki さんからの引用: > (1)観察(相関)研究は因果関係を確認するには不十分である. > 因果に迫るためには第3の変数の影響は実質科学的 > に考察しなければならない. > > (2)統制研究は因果関係を確認するには不十分である. > 因果に迫るためには統制した変数の実験しない水準 > の影響は実質科学的に考察しなければならない. > > (3)ランダム割り付けは因果関係を確認するには不十分である. > 因果に迫るためには,実験に参加しなかった被験者 > で成立つかを実質科学的に考察しなければならない. > 上記の(1)(2)(3)で述べられている限界・注意は,厳密には, > 他のタイプの研究にも傾聴の意味があります.ただし(3)は > 統計モデルの段階から,明示的に, 手元のデータに母集団 > を限定しています(ランダム割り付け). (1)(2)の(相関 > ・統制の)統計モデルは手元のデータを母集団とはしません. 「統計モデルの段階から,明示的に,手元のデータに母集団を限定する」 というのは,ランダマイゼーション検定(確率化テスト)という特定の 統計的方法についてならあてはまると思います。しかし,実験における 「ランダム割り付け」という操作自体が,そうした統計モデルを想定し たものという訳ではないと思います。母集団からのランダム・サンプル に対してランダム割り付けを適用することもでき,その場合は,各条件 の被験者(の測定値)は,それぞれに対応する母集団からのランダム・ サンプルとみなせるからです。実際にはランダム・サンプリングは難し く,母集団への推論は問題をはらむことが多いですが,その事情は観察 (相関)研究でも同じだと思います。 ---- 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp Tel/Fax:03-5841-3920 東京大学大学院教育学研究科 (〒113-0033 文京区本郷 7-3-1)
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