[fpr 1801] きゃーるが鳴くんで

南風原朝和

南風原です。

TOYODA Hideki さんからの引用:

> (1)観察(相関)研究は因果関係を確認するには不十分である.
> 因果に迫るためには第3の変数の影響は実質科学的
> に考察しなければならない.
> 
> (2)統制研究は因果関係を確認するには不十分である.
> 因果に迫るためには統制した変数の実験しない水準
> の影響は実質科学的に考察しなければならない.
> 
> (3)ランダム割り付けは因果関係を確認するには不十分である.
> 因果に迫るためには,実験に参加しなかった被験者
> で成立つかを実質科学的に考察しなければならない.

> 上記の(1)(2)(3)で述べられている限界・注意は,厳密には,
> 他のタイプの研究にも傾聴の意味があります.ただし(3)は
> 統計モデルの段階から,明示的に, 手元のデータに母集団
> を限定しています(ランダム割り付け). (1)(2)の(相関
> ・統制の)統計モデルは手元のデータを母集団とはしません.

「統計モデルの段階から,明示的に,手元のデータに母集団を限定する」
というのは,ランダマイゼーション検定(確率化テスト)という特定の
統計的方法についてならあてはまると思います。しかし,実験における
「ランダム割り付け」という操作自体が,そうした統計モデルを想定し
たものという訳ではないと思います。母集団からのランダム・サンプル
に対してランダム割り付けを適用することもでき,その場合は,各条件
の被験者(の測定値)は,それぞれに対応する母集団からのランダム・
サンプルとみなせるからです。実際にはランダム・サンプリングは難し
く,母集団への推論は問題をはらむことが多いですが,その事情は観察
(相関)研究でも同じだと思います。

----
南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp  Tel/Fax:03-5841-3920
東京大学大学院教育学研究科 (〒113-0033 文京区本郷 7-3-1)


  

スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。