[fpr 1926] H0 :μA-μB の考え方

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

Psychological Methodsに3頁半の論文が載ってます。
Lyle V. Jones amd John W. Tukey (2000). A Sensible Formulation of the 
Significance Test. Vol. 5, No. 4, 411-414

http://www.apa.org/journals/met/1200ab.html#1

そろそろ次の号がでそうですね。

APA(外国)会員で直接論文を読むことの出来る人は
http://spider.apa.org:80/ftdocs/met/2000/december/met54411.html

(文献から直接 PsycInfo の要約にアクセスできるようになってます。)

Tukey は去年(2000)の7月に亡くなっていて最終稿は見ていないとのこと。  

非常に短い論文ですが,Psychological Methods の論文らしくありません。応用
の具体例,もしくは数表を載せて応用出来る論文が多いのですが,この論文では
具体的例をきちんとあげていません。

私にはよくわからないのが,帰無仮説を H0 をμA-μB=0 と置かない(μA-μB
の符号が定まらないとする)ことによってここでいっているようなP(error) の
式がでてくるのか,ということ。

どなたか教えてください。

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ところで,

この論文で言及している多重比較の論文(Williams, Jones, and Tukey,1999) 
はWilkinson and Task Force on Statistical Inference(1999)でも言及してい
るBenjamini and Hochberg(1995)の多重比較の特性を明らかにしたものです。

False discovery rate(FDR) という方法は familywise なコントロールではあり
ません。 Williams et al.(1999)では単純なt検定の結果にわりと似た結果にな
ることを示しています(もちろん単純なt検定よりも保守的な結果です)。
この論文は多重比較を複数おこなうときのボンフェローニの調整の仕方をはっき
りしめしていて,わかりやすいです。また,FDR のp値の調整法も簡単に分かる
ように書いてます。

対比較のp値の小さい順に並べ,一番小さいp値とボンフェローニの調整のp値
(pBON)を比較する。p値のほうが小さければ次に小さいp値とpBON*2 と比較す
る。m番目の比較はpBON*m の値と比較する。pBON*m のほうがp値よりも大きくな
ればそこで比較は終了。計算としては簡単です。

既にSAS の MULTTEST Procedure では使うことができます。
http://statweb.unc.edu/books/stat/chap39/index.htm

そこで Wilkinson et al(1999)
http://www.apa.org/journals/amp/amp548594.html
の Multiplicities の項を見ると,
>Multiple outcomes require special handling.
>There are many ways to conduct reasonable inference when
>faced with multiplicity (e.g., Bonferroni correction of p
>values, multivariate test statistics, empirical Bayes
>methods). It is your responsibility to define and justify
>the methods used. 

ということで,使った方法を正当化するのは自己責任という真っ当なことになっ
てます。familywise にはこだわらないということですね。

Wilkinson et al(1999)のいっているBeyes 法が Epidemiology の方では取り上
げられてます(例えば,Goodman,1997)が,う〜ん。これってどうするの。
epdemilogy の文献は例えば下のstata のメーリングリスト 2001年3月
途中で折れているので,つないでください。

Re: st: Bonferroni correction Todd Wagner 

http://www.hsph.harvard.edu/cgi-bin/lwgate/STATALIST/archives/statalist.
0103/Subject/article-40.html


文献
Benjamini, Y. & Hochberg, Y. (1995). Controlling the false discovery 
rate: A practical and powerful approach to multiple testing. Journal of 
the Royal Statistical Society, 57, 289-300.

Goodman,S.N.(1997). Multiple comparison, eplained. American Journal of 
Epidemiology, 147(9), 807-811.  

Wilkinson and Task Force on Statistical Inference(1999).Statistical 
Methods in Psychology Journals: Guidelines and Explanations. American 
Psychologist,  Vol. 54, No. 8, 594-604
http://www.apa.org/journals/amp/amp548594.html
http://spider.apa.org:80/ftdocs/amp/1999/august/amp548594.html (会員)

Williams, V. S. L., Jones, L. V. & Tukey, J. W. (1999). Controlling 
error in multiple comparisons, with examples from state-to-state 
differences in educational achievement. ,
Journal of Educational and Behavioral24, 42-69.

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堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail:  hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp
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