岸本@(慶應2年の任期が終わりSASに出戻り)です。 はるか昔に鈴木さんから同じようなことを聞かれたことが あります。 鈴木:アンケートの解析を東大の先生に依頼しているんだけど、 直交回転後の因子スコアを合計して総合得点出してるん ですよ。どう思います? 岸本:そんなのいいわけないでしょ。 鈴木:やっぱりそうですよねえ。 なんて会話だったと思います。 普通に考えれば、因子分析直交回転を選ぶということは「独立した」 因子が存在すると解析者が信じていることを表わしている筈なので、 それをまた合計するのは無意味でしょう。 でも、ある種 ad hoc な解析としてアリかなあ... とも思います。 それは、第1主成分の総合得点としての性質が気に入らない場合です。 ある変数に類似した変数をたくさん測定した場合、第1主成分はその 変数と同じ方を向くことになります。質問紙の変数群は本来同じ力を もった4因子から成っているとしても、たまたまある質問と聞き方だ けを変えたような質問をたくさんしてしまうと、その質問が総合得点 を支配することになってしまうわけです。つまり、各因子に属する変 数の数が極端にアンバランスな場合、ある意味で公平な総合得点が期 待できないとも考えられるわけです。そこで、本来構成している因子 を推定して、それを等しい重みで合計する... カイザーの正規化のよ うな意味で... ということも、まあ考えられないではないと思います。 ま、それにしても普通の因子分析の応用としてはかなり奇異なものに なります。第一、たかだか10変数しか測定していないのであれば、 因子分析なんて余計な気遣いはしないで単純に総合得点を計算した方 が明快でいいでしょうね。どうせたいして変わらないんだから。 ξ ■ゞ(^_^) Kishimoto The opinions expressed here SAS Institute Japan are mine and not necessarily jpnjak (at) jpn.sas.com those of SAS Institute.
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