真柳@女子栄養大学,です。 数学的に無意味とか,解釈はコジツケになる,というのは,ここに参加されて いる学生さんには非常にためになる話でしょうし,正しいと思います。 ですが,とりあえず,そういった思考停止型の話はおいておいて, 柔軟に議論が発展し,話がすすんでいるのかな?と半分参加しつつ 聞いていたのですが, どうなんでしょうか。 今回の話題では,どこまで,現実的に許されるか,は興味あるところでしょうし, 「現場」で,まあそんなにトンチンカンな結果は出さないから,「簡易法として 使用可能」と言えるか,という視点での話題として面白いですよね。 こういうそもそもランキングしよう,と採取したデータや,選好を調べようとした データは,基本的に一次元性も高いのです。 そういうデータに限って言えば, 今回の事例のような簡易法も使えるかも,というのが,柔軟な理解の仕方で 面白いと思ったのですが。 「意味がよーわからん,し,姿勢がむちゃくちゃだー,わざわざ変な解析せず まっとうな方法で解けよー」と, 最初は怒ってみたのですが,急に「アリ」かも,と思い始めました。私。 (それで,つい試しに解析までしてしまったと言うわけです。) 数値的にもそこそこ妥当な解が得られそうではないか,(第一主成分や 単純和得点との相関が高いという点で)というのが,堀先生の指摘であり, 解釈可能か?という問いに対しては,岸本さんの2回目の発言がその指摘に なると思ったのですが,違いますでしょうか? まあ,議論をぶち壊すなら, 総合評価で単純にランキングしたいなら, 学力や運動能力と違って,物の評価(広い意味でブランドなども含む)では, 人間は総合評価が可能ですから,総合的に良い○○は?と言う観測変数 ズバリでランキングすりゃー いいだけ,の話なんですがね。 (「発表!あなたが思う○○ランキング!」と言えて,判りやすいですし。) こういった時に,もう少し,詳細に検討しようとして複数の設問を用意し, 最初から総合評価を因子として探索できるように調査を組んだ結果が1因子解であ り, データを合成変数化して見たのが,第一主成分解というところなのでしょう。 (もちろん,複数設問のデータ合計点もこれに当たります。) ですが,当初,総合力を測るために1次元でのランキングを想定して 調査を計画し採取したデータの場合でも, (くどいようですが,これが1因子モデルの適用を見込んだもの) 試しに多因子とって回転すると解釈可能な多因子構造が確認される, という状況は,ごく日常的にあります。 ただ,このモデル2つの提案は,互いに矛盾した提案です。 モデルを2つ提案する矛盾と優柔不断さから逃げる方法として, 便宜的に,回転した直交解の因子得点の和を総合力にみなせるなら, 解析は一回でいいし,簡単だし,でいいかな,と,考えたわけです。 (もちろん,厳密に教科書的には駄目ですが,現場は大喜びでしょう。) まともに,きちんとこの2つのモデルの提案から逃げる(対処する)方法が 2次因子モデルだという指摘は, 豊田先生の「共分散構造分析-応用編-」p31で記述されていましたし, 鈴木さんも「fpr1954」で同様の発言をされています。 (これはそもそも,お2人の議論で出た話なんでしょうかね?) 随分前から,この手の話題は,鈴木さんともしていましたし, 上述のような意味での興味とピンときたのですが・・・。(違ったりして・・・) まっとうな手法で解析し解を得ても, 解釈妥当,なんていうのは人間は何でもやる気になれば解釈できるん だし,真実は見えないな,と,良心の呵責にさいなまれている私としては, なるべく統計学がお勧めしてくれる,正確に求められそうな方法を選びますが,ね。 その対極で,現場で使えりゃア何でもいいんだーと言ってる人も 沢山知っていますので, まあまあ,妥当なシロモノですよ,と統計学さんが言ってくれるなら, 知っていて損は無いし,食いついてみました。 真柳麻誉美
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