繁桝@東大駒場です。 最近の議論は、興味深く読んでいます. 昔の教養の哲学の試験問題が、「”1は多である”について考察せよ」だったことを思 い出します.あまり,理論の進展の役にはたたないかもしれませんが,まさに発想 の転換として私は次のように考えます. 確かに測定の問題として考えれば、直交多次元を1次元指標にすることは問題が多す ぎると思いますが、実用的な目的、たとえば、予測や決定の問題ならば、1次元に集約す ることはむしろ当然だと思います.たとえば、あるものの特徴を多次元に捉えた上で、 それの1次元的効用を評価するのは多属性効用問題ですね.(ちなみに、単純な加算で それぞれの属性の効用を全体的効用に統合できるのは特殊な場合のみ.) 重回帰分析なども(cf主成分回帰分析)、もともとの(少なくとも)線形独立の変数の 情報を予測と言う目的のために1次元化しているものと私は考えます. ただし、問題の発端となった事例では、1次元化する目的、および、結果としての 1次元数値の役割がが、まったくはっきりしていないと言うことが問題なのではないでしょうか.
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。