[fpr 1976] 発想の転換

岡本安晴


 岡本@日本女子大学です。

>私のメールは同じようなことを既に岡本さんが
>書いていらっしゃいました.すみま
>せん。

 とんでも御座いません。
先生のサポート、心強く思っております。

 
 「[fpr 1973] RE: [fpr 1972] Re: 因子得点の合計点+発想の転換」
にも

>・・・実際にはほとんど因子間相関の無いような、

とあります。分散1に標準化したデータ空間は楕円状ではなく球状であり、
分散1の直行因子も球形のイメージになりますが、共通性が同じでない
ときは、因子空間内のデータの分布は球形ではなく楕円状になります。
データが本質的に1つの主傾向を強く含む場合、因子空間内の楕円の
長軸方向はその主傾向を向いていると考えられます。しかし、因子得点は
分散が1であるように標準化されていますから因子得点の分布は球状である
はずです。しかし、その和をとることにより長軸方向が回復されると
いうことでしょう。因子の向きは逆向きでもよい訳ですから、場合に
よっては差が解釈可能な得点となるでしょう。すなわち、和や差の
組み合わせをいろいろ試してみて長軸方向の回復を図るということに
なります。ともかく、以上の事情が因子得点の和が意味をもつ理由に
なると推測できます。
 因子得点の和より順位(ランク)を用いる方が他の指標との関係が
よい(相関が高い、よい線形関係が得られる)とき、これは関係の
非線形性を予想させます。元の値(因子得点)が正規分布に従うと
するとき、順位付けは端のデータの影響を弱める働きがあると考え
られます。主傾向と他の指標との関係において、主傾向の端において
非線形性が認められるとき、順付けをスコアとして用いることにより、
この端の非線形性が弱められ、結果として全体の線形性がよくなると
予想されます。
 非線形性に対する処置としてランク付けを行うということなら、いっそのこと
因子得点の順序尺度化ではなく、名義尺度化して数量化法などで分析すると
理論的にはすっきりするのではないでしょうか。因子得点の和の解釈は、
その解釈が期待しているものがあるということでしょう。ならば、最初から
その期待に対応する指標をデータとしてとっておき、因子得点のほうも適当に
カテゴリ化して、それらのカテゴリ値と指標とを数量化法で分析してみる
ということですが。

日本女子大学心理学科
岡本安晴



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