鈴木 です. 》ところで、私の発言は意図は、鈴木さんがせっかくおもしろい問題を 》提出しているのに、[fpr 1949]で「やはり,不毛なメールでしたね, 》これで終わります.」となぜか嘆いていらっしゃるようでしたので、 》議論をすすめる触媒の働きをすることにありました。 岸本さんのおかげで有益な議論になり感謝します.(いまだにあの問題にひっ かかってるのかと思われたでしょうが).企業ランキングや世論調査の発表に ついては社会に対して責任を感じる,というのが私の心境です. 第3の変数(基準変数)の仮想的導入という発想は,実際には無意識にやって いるかも知れませんね.開発に直接関与して比較的定着した指標のひとつに, 日経の「環境経営度」がありますが, http://web.nikkei-r.co.jp/kankyo4/index.htm これは第1主成分(X)でランキングすると同時に,第2主成分(Y)も使っ て「環境経営マップ」を描いています.この手順を使った企業評価指標は他に もあり,第1象限から第3象限にいたる方向に,ある価値観のもとで解釈可能 な「良さ」の次元を得ることがあります. 実際に基準変数がある場合に1次元尺度を作るのは容易ですし,そうでなけれ ば真柳さん[fpr 1968]の 》人間は総合評価が可能ですから,総合的に良い○○は?と言う観測変数ズバ 》リでランキングすりゃー いいだけ,の話なんですがね。 という指摘のとおりです.ただ現実には数千の○○を評価する能力はないので 「日本最大の」というような総合指標の作成はこの方法では困難で,調査票を スプリット設計する大規模調査が必要です.ちなみにプリズムのアイデアは, これに対する1つの解決法ですよね.あるいは真柳さん[fpr 1969]の, 》評価データの場合は,総合評価因子を作って, 》因子間に階層のある多因子因果モデルで解析することが, 》この種の選好やランキングデータの解析方法として考えられますね。 がベストでしょうか(共同研究した時のデータがこんな形でしたか・・・). 基準変数がない時は,総合指標を作るために用意した観測変数に対しては第1 主成分を考えるのがやはり自然です.多次元を求めておきながら,本当は1次 元が欲しいのだという2枚舌を使って,なお泥をかぶらず切り抜ける余地があ るとすれば,水平な横っ飛びではだめで,垂直な上昇をするしか,つまり階層 構造,2次因子であると思います.そうすれば,1次元と多次元の概念の水準 が矛盾なくおさまる場所を見出せるかも知れません. もしも多因子モデルを目的として構成しつつ因子得点和を総合指標とする−− ということが,背後で第1主成分や2次因子得点と実質的に同じになるという 確認をしたうえで,人々にもっとも分かりやすい提示法を選んだ結果だとすれ ば,一見無配慮なものが深い配慮と同じ結果で救済される,大いなる知をなし とげているかも知れません.単なる無自覚と紙一重の逆説ですが. ひょっとしてこの手順は普通に使われているのかな,と思って投稿したのです が,そういうことでもないようですね.
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。