岡本@日本女子大学です。 授業の準備をしていて、先日の話題「因子得点の合計点?」に おける分析に心理学的な立場からの疑問がでてきました。 生徒の学力を偏差値という1次元の尺度で順位付けることについては マスコミにおいてもしばしば問題が指摘されています。 今回の場合、「[fpr 1950] RE: [fpr 1947] 因子得点の合計点?」に >ここで構成した因子と「総合的なブランドの良さ」の関係が、 とありますが、「ブランドの良さ」も1次元の尺度で順序付けて よいのでしょうか。売上高とかで順序付けるのでしたら、それは それで意味が明確ですが、心理的な評価を1次元空間で表せると 考えるのは心理学の立場からは無理があるのではと思います。 人によりブランドの評価は異なるでしょうし、その違いをとらえないと、 商品の開発もターゲットとする消費者とずれるという危険があるのでは ないでしょうか。 「日本最大規模のブランド評価調査」は単なる興味本位の調査では なく、なんらかの経済戦略に関係することも想定されていると思います。 商品は多様な消費者への対応をきめ細かく計画する時代だと思いますし、 そのためにITを如何に活用できるかが重要になっていると思います。 そのようなときには「総合的なブランドの良さ」という順位付けは 不適切なのではと思います。 授業では、人それぞれの違いを選好データの個人差分析を 通じて体験してもらうことを予定しています。分析法は 双対尺度法を用いる予定です。このタイプの分析法は、大抵の データに対して解釈可能な結果を出してくれると期待できるからです。 学生さん(学部1年生)が集めてくるデータですので、分析法は このタイプのものとしました。データは双対尺度法の適用が可能な 形で集めます。 日本女子大学心理学科 岡本安晴
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