[fpr 1992] 因子得点の合計点?

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

Re: [fpr 1962] Re: 因子得点の合計点?

(a)本来の構造が斜交であっても、直交解の因子得点の合計点があたかも斜交解で求めたように合
計点に意味あることは鈴木さんにはわかっていただけたものと思います。

この件について補足説明が必要なようです。

順位の点については気が向けば書きます。このところ、会議等が立て込んでいて時間的にも精神的
にも肉体的にも余裕がありません。

鈴木さん@日経リサーチの次のページについて、
> 
> 内容もブランド調査に似たデータでチェックしてみました(↓)
> http://www.littera.waseda.ac.jp/faculty/stok/menu06/fstot.html

>■総合指標の作成は主成分分析を利用するのが一般的である.

一般的であってもそれが、最善とはかならずしもいえない。
(1)真の構造が単純直交であり、3因子以上存在する。
(2)真の構造が単純直交、2因子であり、かつその2因子の共通性が等しくない。
(3)後で述べる真の構造が双因子の構造であるが、一般因子以外が3因子以上の場合は、一般因子
+もっとも分散の大きい因子ともいえるものが第1因子となる。ただし、一般因子の分散がほかの
因子の分散より小さければおそらく違う構造がでてくるであおる。
(3)’真の構造が双因子構造の場合に、2因子の場合は、2つの因子とも負荷する傾向があるよう
だ。

(構造という言い方に誤解が生じる可能性があるが、本来の因子パタンといったほうがいいか?)

(この点については、日心2000ワークショップのパワーポイントなども参照していただけると幸い
です。)


(3)の場合を考えれば、単純に一般因子の構造になっていなければ近似としての総合指標である。
一般因子がないなら、それは総合指標としてはもともと問題のあるものであるので、今後考える必
要はないだろう。

>観測変数の測定
>尺度がすべて等しいか標準化得点を使う場合,第1主成分得点は観測変数の和
>得点(ないし平均値)と0.9以上の高い相関を示すことが多い.

なぜこういうコメントがでるかわからないが、特に問題にしない。

コメントはこれ以下の部分に対して。
>では,因子
>分析の主成分解で複数の因子(成分)を求めて回転したあと,因子得点の合計
>点を総合指標とする場合はどうか.因子数が増加するにつれて,回転前の第1
>因子(主成分)との相関は下がっていくであろう.

モデル化をせずに一般的な話にとんでます。

昔の因子分析のモデル化の仕方を理解していないからこういう発言になるのではないかと思われる
のですがどうでしょう。昔の因子分析のモデル化は浅野長一郎氏の『因子分析通論』にあるような
理解です。
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~ebsa/asano01/

まあ,積重ね型モデルといったらいいのかな?モデル化の仕方でわかりやすくなったりわかりにく
くなったりします。SEMの万能のモデル化が了解しやすいとはかぎりません。もちろん積み重ね型
モデルも発想を貧弱にする面もあります。

まず,本当に一般因子との場合どうなるか。浅野氏の本では双因子解法(bi-factor solution)で
す。
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~ebsa/asano01/pdf/ch11.pdf
これは斜交モデルでもあるのです。もちろん斜交モデルはもっと一般的なものであります。

このタイプのデータを主成分分析をするとどうなるか。2000年日心ワークショップで分析して
いる。ただし,面倒なことはさけるために突っ込んだ説明はしなかった。

日心ワークショップ・パワーポイント
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/pwork/psy2000.ppt
ページが主成分分析をした結果です。
見直してみると,p18の変数名が違っている。v1〜v5はv6〜v10,v6〜v10はv16〜v20でした。誤差
項も同じように修正する必要がある。

v6 =0.55*G+0.71*f1+0.45*e6
v7 =0.55*G+0.71*f1+0.45*e7
....
v16=0.55*G+0.55*f2+0.63*e16
v17=0.55*G+0.55*f2+0.63*e17
.....

これはさておき、
双因子解構造であるとして、それぞれの変数の一般因子の重みがsqrt(0.3)として、一般因子以外
が3因子(v1〜v15)の場合と4因子(v1〜v20)の場合において、相関係数を求めると、

相関係数
Pearson の相関係数 
	      	3因子合計	4因子合計
3因子直交解得点合計	1.00000		.95875
4因子直交解得点合計	.95875		1.00000
3因子第1主成分	.99795		.95633
4因子第1主成分	.96959		.99812

余分な結果も入れてますが、3因子の場合 0.99795, 4因子の場合0.99812とほんのわずか高くな
ります。上の最大分散の因子の影響力が低くなるので当然の結果といえましょう。

このように、もともとが双因子の構造であれば、直交解の因子得点の合計点は意味をもつのです。
それは主成分分析の第1主成分よりもきれいになります。ただし、このデータは1因子あたりの変
数の数をそろえたデータです。

多くの場合分けができるのですが、代表的なところでこのような考察ができます。

つまり、真に直交単純構造をもっている場合と意味がまったく違い、双因子の構造をもつデータを
バリマックス回転してもその因子得点の合計はきちんとしたものです。

てなこといまできちんと述べたひとはいたのかな。

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