豊田@早大心理です 桐野さま: 桐野 匡史 さんは書きました: >桐野@岡山県立大学学生といいます。 はじめまして >現在,順序尺度(2件法〜4件法)を用いたデータを元に共分散構造分析を試みていま >す。 >現在,順序尺度として,例えば「不可能」,「介助」,「自立」というように >順序データに1,2,3という数値を与えています。 >そして,このような質問項目が10項目あり, >これを基礎として探索的因子分析,および確証的因子分析を行おうとしています。 >探索的因子分析における,処々の過程は省略させていただきますが, >因子分析に関しては,これらの10項目の質問に対して >ポリコリック相関係数を用い,それを基礎として最小2乗法を用いた ポリコリック相関係数は,どのソフトウェアを用いて 計算なさっていますか?もしEQS・Mplus・LISRELなど のSEMのソフトで計算しているでしたら,アドバイ スは容易であり,続けて確証的因子分析における共分 散構造分析をすることが可能です. >プロマックス回転により因子の抽出を試みています。 >ですが,正直なところ,この手順が正しいものなのかどうかも分からず, >理解できないまま,この分析の箇所でつまづいています。 >そのため,確証的因子分析における共分散構造分析についても >どのような手順で順序尺度のデータを扱っていけばよいか理解できず,途方にくれて >います。 >豊田先生の著書「共分散構造分析(入門編)」によると, >「四分相関,双列相関,ポリコリック相関,ポリシリアル相関を含んだ相関行列だけ >では >構造方程式モデルの母数を推定することはできない。」 >「カテゴリカル変数を含んだ構造方程式モデルの母数の推定値は, >多変量データ行列からは求められても,相関行列からだけは求められない。」 >とありますが,このことはどのようなことを意味されており, >また,このような順序データを用いた場合,どのようにして共分散構造分析を >行えばよいのでしょうか。 P219のこの部分は,正確には「『この方法は』四分相関, 双列相関,ポリコリック相関,ポリシリアル相関を含んだ相 関行列だけでは構造方程式モデルの母数を推定することはで きない。」です(文章を途中で切って引用しないでくださいね). つまり『この方法は(一般化最小2乗法)』について説明し た個所であり,モデル全体を指しているのではありません. ポリコリック相関行列に対して,(重みなしの)最小2乗法 を適用することは主流ではありませんが,間違ったやり方で もありませんので,どうぞ因子の抽出を試みて,プロマック ス回転してみてください. それ以外の,多くの共分散構造分析をなさる場合には,EQS・ Mplus・LISREL(入門編・応用編に紹介があります)などポ リコリック相関行列を計算したしたあとシームレスに(そ のまま直接に)共分散構造分析してくれるソフトウェアを 使用なさることをお勧めします. >何か,簡単なお手本となるようなものでもあればよいのですが, >見つけることができず,困っています。 入門編・表12.5では1因子の解しかないですし,いまの ところ本屋さんで直ぐに手に入るものは思い付きません. Mplus・LISREL(PRELIS)のマニュアルにはカテゴリカル データの共分散構造分析の(英文ですが)比較的たくさん 応用例が載っています.どちらか一つならLISREL(PRELIS) のマニュアルがお勧めです. -- -------------------------------------------------------------------------- TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Lieterature, Waseda University toyoda (at) mn.waseda.ac.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan --------------------------------------------------------------------------
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