[fpr 2026] 順所尺度を用いた共分散構造分析について

豊田秀樹

豊田@早大心理です

桐野さま:

桐野 匡史 さんは書きました:
>桐野@岡山県立大学学生といいます。

はじめまして

>現在,順序尺度(2件法〜4件法)を用いたデータを元に共分散構造分析を試みていま
>す。
>現在,順序尺度として,例えば「不可能」,「介助」,「自立」というように
>順序データに1,2,3という数値を与えています。
>そして,このような質問項目が10項目あり,
>これを基礎として探索的因子分析,および確証的因子分析を行おうとしています。
>探索的因子分析における,処々の過程は省略させていただきますが,
>因子分析に関しては,これらの10項目の質問に対して
>ポリコリック相関係数を用い,それを基礎として最小2乗法を用いた

ポリコリック相関係数は,どのソフトウェアを用いて
計算なさっていますか?もしEQS・Mplus・LISRELなど
のSEMのソフトで計算しているでしたら,アドバイ
スは容易であり,続けて確証的因子分析における共分
散構造分析をすることが可能です.

>プロマックス回転により因子の抽出を試みています。
>ですが,正直なところ,この手順が正しいものなのかどうかも分からず,
>理解できないまま,この分析の箇所でつまづいています。
>そのため,確証的因子分析における共分散構造分析についても
>どのような手順で順序尺度のデータを扱っていけばよいか理解できず,途方にくれて
>います。
>豊田先生の著書「共分散構造分析(入門編)」によると,
>「四分相関,双列相関,ポリコリック相関,ポリシリアル相関を含んだ相関行列だけ
>では
>構造方程式モデルの母数を推定することはできない。」
>「カテゴリカル変数を含んだ構造方程式モデルの母数の推定値は,
>多変量データ行列からは求められても,相関行列からだけは求められない。」
>とありますが,このことはどのようなことを意味されており,
>また,このような順序データを用いた場合,どのようにして共分散構造分析を
>行えばよいのでしょうか。

P219のこの部分は,正確には「『この方法は』四分相関,
双列相関,ポリコリック相関,ポリシリアル相関を含んだ相
関行列だけでは構造方程式モデルの母数を推定することはで
きない。」です(文章を途中で切って引用しないでくださいね).
つまり『この方法は(一般化最小2乗法)』について説明し
た個所であり,モデル全体を指しているのではありません.

ポリコリック相関行列に対して,(重みなしの)最小2乗法
を適用することは主流ではありませんが,間違ったやり方で
もありませんので,どうぞ因子の抽出を試みて,プロマック
ス回転してみてください.

それ以外の,多くの共分散構造分析をなさる場合には,EQS・
Mplus・LISREL(入門編・応用編に紹介があります)などポ
リコリック相関行列を計算したしたあとシームレスに(そ
のまま直接に)共分散構造分析してくれるソフトウェアを
使用なさることをお勧めします.

>何か,簡単なお手本となるようなものでもあればよいのですが,
>見つけることができず,困っています。

入門編・表12.5では1因子の解しかないですし,いまの
ところ本屋さんで直ぐに手に入るものは思い付きません.

Mplus・LISREL(PRELIS)のマニュアルにはカテゴリカル
データの共分散構造分析の(英文ですが)比較的たくさん
応用例が載っています.どちらか一つならLISREL(PRELIS)
のマニュアルがお勧めです.

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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567             School of Lieterature, Waseda University
 toyoda (at) mn.waseda.ac.jp  1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
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