岡本@日本女子大学です。 モデル選択についてですが、 >また,全モデルにおいて代表的な適合度指標は許容水準を満たします。 許容水準を満たしているとのことですが、どれが最適なモデルであるか の判断(統計学的な判断ということで実質科学的な判断ではありません)の ための指標の検討が必要だと思います。モデル番号1からモデル番号6まで 階層的に構成されているので尤度比が使えますし(確か、Amosの英文マニュアル にサンプルがあったと思います)、階層的に構成されていない場合でもAICなど いろいろな指標が算出されていると思います。尤度比検定はちょっと詳しい 統計の本なら出ているはずですし、AICは情報量統計学の本に解説があります。 実質科学的判断は、統計学的判断を資料の1つとして行うことになります。 私が気になったのはモデル番号3で負の分散が得られたことがきっかけです。 まず、10項目で3因子(第1次因子)が想定されています。また、誤差分散は 互いに独立と仮定されているのではと思います。新着の心理学研究にある豊田さんの SDデータの分析でも誤差分散は一応独立としておくという書き方だったと思いますが、 実際には誤差分散に相関を認めた方が単純な因子構造を設定することができる場合が 結構あるのではと思います。主要な因子以外は誤差項に入れ、その代わり誤差項の方は 相関を認めるというモデルです。 第1次因子3つで項目を3グループに分ける前に、古典的な方法で直交因子解を 求めて検討してみるというのも参考になる分析結果が得られるのではと思います。 この直交解を参考にして因子数を減らしたモデルにおける誤差項の相関の設定に ついての検討もできます。 なお、豊田さんの論文で扱われているSDデータに因子分析(共分散構造分析) モデルを適用することについては、適宜、適当な機会に問題を指摘していきたいと 思います。技術的な問題ではなく、モデル設定における基本的考え方の問題です。 日本女子大学心理学科 岡本 安晴
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