原田@広島大学大学院生です。 多母集団同時分析で生じる不適解の解釈,ならびに因子構造の 類似性の解釈について,抽象的な質問であったにもかかわらず, ご教示下さり本当にありがとうございました。 遅くなりましたが,A群6,800ケースは本邦一般群,B群700ケー スはアジア某国一般群です。今回は,先行研究と理論から措定 される測定モデルが,交差妥当性を備えるか検討していたもの です。もちろん,その目的は平均や他変数との関連度の国際比 較を視野にいれつつ... したがって, 豊田先生からいただきました。 >(あ) >両群で同じ構成概念(尺度)を仮定できるのか? >だからとりあえずモデル1から6を計算した」という研究状況 でした。 >つまり患者さんは人数が少ないので,一般群の枠組みで,同じ >スケール上で比較したほうが,学術的に得るものが多いか( >(あ)の立場),あるいはスケールの違いを丁寧に記述したほ >うが学術的に得るものが多いか((い)の立場)で判断が変わ >ってきます. たいへんよくわかりました。 今回は,文化差などから生じ得るモデルの異同について予め十分な 仮定を設けたりはしていませんでした。あくまで,「両国間の異同」 という極めてあいまいな関心に依拠した解析であったことを自覚し ました。 >上記の数値例の場合は(あ)(い)どちらの方向でモデル構成を >しても許される微妙な状況であるとおもいます. > >じゃあ,なぜ勝手な想像をしたのかというと,因果モデルは,何 >の為に作るのかという文脈に依存する部分が多ということを,言 >いたかったからです.もちろん数理的な指標から導かれる大枠か >ら外れたことをしては許されないのですが,その範囲で,研究目 >的に左右される判断というものも,意外と多いのです. 分析結果の解釈は立てた研究モデルの状況に立脚している点は, SEMも分散分析も同じなのですね。 分析結果を適切に解釈するということは,十分に構成された研究モ デルに依存する点をご指導いただいたものと,心に留めておきます。 まずは,自ら立てた研究モデルについて,見つめ直したいと思います。 なお,今回の事例を含め,論文化の際には,不適解のこと,群間の パラメータ推定値の比較結果,標準誤差に関する考察など適切に記述 できるよう努力したいと思います。 ------------------------------------------ 広島大学大学院医学系研究科保健学専攻 原田 和宏 E-mail: kazuhiroha (at) mail.goo.ne.jp : kazu-ha (at) jeans.ocn.ne.jp ------------------------------------------
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