[fpr 2101] facet theory ワークショップ雑感

狩野裕

狩野@大阪大学です

ファセット理論のワークショップには,指定討論者として参加させてもらったので
レスします.

SEMとの対比を中心にコメントしたのですが,sentence mapping について勉強
していなかったので,豊田さんご指摘のMTMM行列の分析との対応について
コメントできずに残念でした.私の感じでは,SEMでのMTMMの分析の方が
細かいことができる反面,サンプルサイズが大きくないといけないとか,乗法モデル
と加法モデルのどちらを選ぶべきかという厄介な問題もあります.SSAの方がこの
観点でロバストのような気がします.実際,比較してみる必要がありますね.

私は,ワークショップやその後の議論から,因子分析にあれだけの貢献のある
Guttman が,探索的因子分析をあきらめて(否定して),Facet理論を構築した
というところが非常に興味深かったです.一方,SEMの創始者であるJoreskog
は,これまた同様,探索的因子分析を否定し,検証的因子分析,そしてSEMへ
と発展させたのは有名です.世界では,60年代にこのような変化が起こっていた
ということでしょうか.

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
 狩野  裕 大阪大学人間科学部
 〒565-0871 吹田市山田丘1−2  Phone/Fax:06-6879-8052
 http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/
 You can get pdf files of the current articles of Behaviormetrika.
 Visit http://wwwsoc.nii.ac.jp/bsj/behaviormetrika_index.html#28.1
●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●



> 豊田@早大です
> 
> 
> Keizo Hori さんは書きました:
> >堀@香川大学経済学部です。
> >今年の日心大会においてファセット理論に関するワークショップがあっ
> >たのですが,どうも不完全燃焼でした。
> 
> 私も出席しました.
> 私は,タイムテーブルがタイトなのに,時間を守って進行され,感動しました.
> 中身も充実していて,ワークショップの鏡と思いました.
> 
> 
> >この理論に関して,心理学関係者なら,このデザインを組むなら分散分
> >析しちゃうんじゃないというのが第1に疑問です。もちろん,ファセッ
> >ト理論のように分析しるほうがたくさん見える面があるでしょうけど,
> >分散分析の研究にくらべ,だからどうなのといわれそうな気がします。
> 
> そうですね.繰り返し測定の有る互いにクロスした要因をファセット
> とみなすと分散分析とも言えます.しかしSSAの興味は平均値の構造
> に有る訳ではないので,その点が違うのだと思います.
> 
> >それをどういう構造になっているか,SSAのプロットしてみよう。そし
> >てその構造をよく見てみよう。どんな構造が見えてくる?
> 
> 賛成です.一番問題なのは,SSAやPOSA自身にファセットを表現
> する数理モデルの部分がなくって因子分析や数量化3類で解析してファ
> セット理論で解釈してもいいということです.ううむ..
> 
> 
> >いくつかの代表的構造を示しています。こういうことやっちゃうのがす
> >ごいですね。
> >しかし,その先はどうなってんだ。というのが見えなかった。それが第
> >2の疑問。
> 
> 
> これも賛成です.要するにファセットとはSEMでいうところのMODE
> (相)です.だから構造方程式で多相の状態を表現してSEMで分析し,
> ファセットの観点から分析すると,モデル構成から解釈までが一貫する
> と思いました.
> 
> 
> >それがみえるような報告が欲しかった。報告はみなさん忙しそうで大変
> >だったですね。
> >報告を間引いて,ゆったりとした報告をして欲しかった。
> 
> 
> これはそうは思いませんでした.お客さんを飽きさせないように,サービス
> いっぱいだったと思います.木村先生のワークショップの運営法を是非
> 見習おうと思いました.
> 
> --
> ------------------------------------------------------------------------
--
>  TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                Department of Psychology
>  TEL +81-3-5286-3567             School of Lieterature, Waseda University
>  toyoda (at) mn.waseda.ac.jp  1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
> ------------------------------------------------------------------------
--
> 


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。