[fpr 2178] あるベクトルとrという相関を持つベクトル(群)の作成法

Shin-ichi Mayekawa


東工大の前川です。

[fpr 2169] から始まった
あるベクトルとrという相関を持つベクトル(群)の作成法
という話の続きです。

ベクトル x の分散共分散行列が S の時、
  y = A x                     (1)
という変換をすると、y の分散共分散行列は
  A S A' 
となります。
これが Sigma になるように A を求める、すなわち
  A S A' = Sigma              (2)
となる様な行列 A を求めるという話です。

豊田さんの説明では S や Sigma は母数でしたが、
狩野さんの説明のように標本統計量でもかまいません。

このような A はいろいろありますが。
狩野さんの最初の説明では、対称な平方根行列
  S = S^{1/2}S^{1/2}
  Sigma = Sigma^{1/2}Sigma^{1/2}
を用いて
  A = Sigma^{1/2}S^{-1/2}
と定義するということでした。これを使うと (2) 式が
  A S A' = Sigma^{1/2}S^{-1/2} S S^{-1/2}Sigma^{1/2}
となり 
  S^{-1/2} S S^{-1/2}
の部分が単位行列になって、結局
  A S A' = Sigma^{1/2} Sigma^{1/2} = Sigma
となるということです。この場合 T を直交行列として
  A = Sigma^{1/2} T S^{-1/2}
としてもかまいません。このようなベクトルは無限に出来る
ということです。

(余談ですが、これを利用して、所与の因子相関を持ち、かつ
単純構造を成す因子の回転方法が出来るはずです。)

2番目の説明は、行列の三角分解を
  S = VV'
  Sigma = WW'
として、
  A = W V^{-1}
とするというものです。これだと、 A 行列がやはり下三角行列
になるため、 (1) 式の変換において x の最初の要素が
保存されるという性質があります。

最初の質問のように、何か変数が一つあってそれと特定の
相関を持つ変数を作りたいという場合には、
手持ちの x に何か乱数を加えてそれを新たに x として
上記の方法を使うことになると思います。
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Shin-ichi Mayekawa                                             前川眞一
 Department of Human System Science,                 東京工業大学大学院
 Graduate School of Decision Science and Technology,   社会理工学研究科
 Tokyo Institute of Technology.    +81-3-5734-3242 人間行動システム専攻
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