岡本@日本女子大学心理学科です。 >●有意差検定というのは、「差があるかもしれない(効果があるかもしれない、 >明らかに違いがあるかもしれない」という対象について、灰色領域の中からほぼ確 実にクロと >言える部分を見つけ出す作業である。対象をクロとシロと灰色に区別する作業では ないし、 >灰色をクロっぽい灰色と、シロっぽい灰色に分ける作業でも決してない。 年をとってもその人らしさって変わらないものですね(注:長谷川さんとは 院生時代に同じ大学の文学研究科心理学専攻に所属していました)。 変わらないのは私だけかと思っておりましたが安心しました。 提起された問題に関連したことですが、 R.Royallという方の"Statistical evidence: A likelihood paradigm", 1997 という本、面白く読みました。ページ数もAppendixの最後のページが179ページ と気楽な分量でした。質は読み手のバックグラウンドによると思いますので 未読の人は立ち読みでもして確かめてください。 この本のp.62にBurdette and Gehan (1970) からのものとして有意水準の conventional interpretationsなるものが載っています。ここには20%以上が 扱われていないのが寂しいですが。確か昔、数理心理学の分野では20%も区切りの 値として使われていたと思うのですが。 というようなことを書いているとRoyall先生は呆れておしまいになるでしょうから 止めます。 もともとデータに不確実性がないときは検定など行わないでしょう。検定を 行っているということは不確実性を認めているということですから、データ 分析の結果についても何らかの不確実性が伴うのは当然と思います。 不確実性に基づいて行動を選択する場合、選択された行動自体は確定して おりますが。 日本女子大学心理学科 岡本安晴
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