[fpr 2231] 「傾向差」は統計用語?

Mitsuru Ikeda

池田@ICUです。

皆様のご意見、うなづきながら拝読いたしました。
関連したことで、わたしも学部生に質問されることがあり、そのときに
学部生(統計手法の初心者)がもちがちな誤解がここで一つポイントにな
ると思って、投稿させていただきます。

こちらに投稿されている先生方はご理解なさっていると思いますが、例
えばMeanの差の検定の場合、それは「差があるか、ないか」を調べてい
るのではなく「差が偶然に起こりうるかどうか」を調べているという、
検定という概念の基本を理解していない学部生が少なくありません。

そのような考え方からすれば、有意水準というのは研究者が恣意的に決
定するのが本質であって、5%にこだわる必要がないというのは事実だ
と思います。
ただ分野の中のコンセンサスとして、「5%以上の確立で偶然に起こる
というのは、確率が大きすぎるのではないか」という風潮があるに過ぎ
ないと思います。

そのような観点から言うと、今回の有意水準の言語的表記の仕方という
のは、実はとても瑣末なことのように思えます。
例えば一般的に調査用紙に用いられる「とてもそう思う、ややそう思う、
全くそう思わない」等の表現をとっても、それぞれの言い回しをどのて
いどのものとして認知するか、またその差が等しいかというのは、実際
のところかなり怪しげです。

同様のことがこのケースでもいえると思います。
本質はどの程度の水準を認めるかということであり、その解釈を言語を
用いて表現するのは、あくまでも研究者の解釈に過ぎないと思います。
非常に条件統制をした実験的研究においての5%水準と、変数統制が困
難なフィールド研究による5%では、持つ意味が違ってくることもあり
うるわけです。

学部生などの初心者が犯しがちなミスとして、見られた差の本質を考え
ずに、有意差が歩かないかだけに関心を持つことが、自身が研究しても
あるいは他の研究者の論文を読んでいてもよくあります。

こうしたところは、わたしとしても自戒すべき点に思います。








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