岩澤@科学技術振興事業団CRESTです. Kazuhito Yokoyama wrote: > > 東京大学 横山です。 > > つい先日、大学院生が「統計学的には有意ではないが差が見られた」 > とpが0.06くらいの検定結果を論文の結果に書いていました。思わず > 「私の目の黒いうちはこんな検定結果の解釈は認めない」、「p=0.06で > 議論できるならp=0.5でも同じことだしそもそも統計検定なんかいらない > のでは」と言ってしまいましたが、後でこのメーリングリストの議論を思 > い出しました。 その大学院生は実に正しく結果を記述しているのではないですか, 解釈ではなくて…… 半分茶化しているのですが,それはともかく, その「有意ではない差」が実験仮説を支持していると解釈してしまうことが 問題だということでしょう. > > 研究者のデータ解釈−結論導出の論理のあり方だと言ってしまえば > それまででしょうが、できるだけconservativeで良いと思います。確か > に「傾向差」だとか「統計学的には有意ではないが差が見られた」とか > 記述している論文は存在していますが。 すでにこれまでの議論で尽くされていると思いますが, あえて蛇足を付け加えるなら,有意水準という線引きを見失って, 「傾向差」が見られるからきっと実験仮説は正しい,という論法はおかしいわけです. これでは何のために実験や検定をしているのかわからなくなってしまいます. 一方で,検定結果を記述するだけなら,「有意傾向にあった」などと書いても 構わないのではないでしょうか.例えば有意水準5%のときに,0.1 < p < 0.05 で "approaching significance",p=0.04 くらいだと "marginally significant" のように検定結果を書いてある論文は,実験心理学でも 以前からあります. -- < 科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業(CREST) < 「脳を創る」領域「聴覚脳プロジェクト」 < < 岩澤 秀紀(いわさわ ひでき) < < 〒619-0288 京都府相楽郡精華町光台2-2 < ATR 音声言語コミュニケーション研究所 津崎主任研究員気付 < e-mail: hideki.iwasawa (at) atr.co.jp(10月末まで) < e-mail: hideki_iwasawa (at) yahoo.co.jp
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