[fpr 2258] 相関係数の検定と区間推定、そして回帰係数の検定と区間推定

豊田秀樹

豊田秀樹@早大心理です

Yutaka Kano さんは書きました:
>この結果があるから,回帰分析の一般論は,xを固定変数として
>理論展開できるのです.xとyが身長,体重という場合に,身長は
>固定変数,体重は正規分布としてよい理由がここにあります.


2変量正規分布を仮定すると,XもYも釣り鐘型のヒストグラムでないと
分析し難くなりますが,X(身長)を固定変数という仮定のモデルなら
(50キロ台・60キロ台・70キロ台から,それぞれ同じ人数用意するなどの場合は)
Y(体重)のヒストグラムは正規分布から明らかに逸脱していても
必ずしも仮定をバイオレイトしているとは限りません.言い換えると
XとYが「両方とも」釣り鐘型のヒストグラムでなくても
必ずしも1変量正規の仮定をバイオレイトしているとは限らないということです.
仮定されているのは誤差変数Eが正規分布している事ですから.
学生が頻繁に間違うところなので補足してみました.


>SEMでも,性別などの属性変数は,独立変数として用いるのならば
>「罪は重くない」ということなのですが,その理論的根拠も同じところ
>にあります.


観測変数のヒストグラムが,明らかに正規分布していないときは,むしろ
外生的観測変数に固定変数を積極的に導入します.そうすれば
正規分布していないデータを,多変量正規分布のモデルで分析する事の
正当性を探れます.もちろんその時はLISCOMPかMPLUS
を使います.


>なお,信頼区間では母相関係数はゼロとは限りませんから,
>上記の議論は使えません.検定の場合は帰無仮説のもとでの
>分布を考えますから母相関係数はゼロとなります.


Xが,たとえば試料の重さ・対象からの距離など分析者の
意志で値を決められる固定変数である場合は,Xの値の範囲を
3kgから10kgで実験する場合と,3.2kgから3.8kgで実験する場合とでは
Yとの相関の意味が変わるので,そもそも相間の信頼区間を構成する意味がない.
しかし0か否かの定性的な判断はできる.
と私は理解していました.



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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567             School of Lieterature, Waseda University
 toyoda (at) waseda.jp        1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
 http://www.littera.waseda.ac.jp/faculty/tyosem/index.html
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