[fpr 2385] 調査と実験

Tomoya MASAKI

以前、キャンベル共同計画の件で投稿した正木と申します。
[fpr 2371]からの議論、大変興味深く読ませて頂きました。

on 4/25/03 18:35, Y.Hasegawa/長谷川芳典 at hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp
wrote:

> 知覚の実験は確かに実験ですが、被験者は少ないし、群間比較もやらない、
> 無作為な割付もしません。

このご指摘に乗じて、疑問に感じていたことを質問させて頂きます。

日本の社会科学、心理学、教育学領域において Evidence Based
な研究はどのくらいなされているでしょうか? 具体的には、
教育や処遇などの介入効果をみるための、無作為化を行ったうえ
での群間の比較研究(randomized controlled trial: RCT)は、
どの程度実施されているでしょうか?

最近、青少年の暴力行為に関する国内研究動向を把握するため、
文献の調査を行いました。かなり広範囲に探索したつもりですが、
RCT による研究を1件も見つけることはできませんでした。
かろうじて、教室毎に異なる内容の指導を行った結果を比較する
といった、無作為化をしない準(quasi)実験デザインのものは
数件見つけることはできましたが、どうも調査時の手応えとして、
国内では RCT による介入研究そのものが少ないのではないか、
との印象を強くしました。

一方、国外をみますと、キャンベル共同計画のマザーデータ
ベース(C2-SPECTR)には、無作為あるいは無作為であろう
と思われる研究デザインを用いた研究が1万件以上あり、
小規模な準(quasi)実験デザインを含めると、
おびただしい数(10万件以上?)になるようです。

 http://128.91.198.137/

国内の文献データベースが、研究デザイン別に効率よく探索できる
構造を持たないために、うまく目的とする研究を抽出できない事情
もありますが、それにしても1件も見つけられないというのは、
どうも腑に落ちない次第です。

因みに、保健医療分野においては、国内においても薬効評価や
医療介入に対する数多くの RCT を用いた研究報告があり、
これらは比較的容易に検索可能です。

日本の社会科学、心理学、教育学分野では、本当に RCT が殆ど
行われていないのか、それとも、単にみつけられない(探し方が悪い)
だけなのか、ここのところがどうもよくわかりません。

このあたりの事情について、ご教示頂けませんでしょうか。
あるいは、この分野には RCT 研究は沢山ある(はず)といった、
情報提供や探し方も含めてご教示を頂ければ幸いです。

稀な投稿にて、いきなり漠とした質問となり恐縮ですが、
この分野の門外漢ということでご容赦願います。

--
東京大学大学院 国際保健計画学(客員研究員)正木朋也
email: masakit-tky (at) umin.ac.jp


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