[fpr 2394] 調査と実験

murakami (at) edu.toyama-u.ac.jp

岡本 様


> 
>  万が一、真似する学生が出てくると後始末が大変なので書きました。
> 
> 「[fpr 2392] Re: 調査と実験」より
> >・・・対照群なし。・・・事前と事後測定しかありません。
> 
>  これでは差が出たとき、その差の原因の解釈ができません。交絡要因の
> 影響を評価するための対照群です。


おっしゃる通りです。院生は現職の先生で、自分のクラスでしか実験できない状況です。対照群は他クラスの担任に依頼するほかありません。こちらもあまり無理はいえません。「アサーショントレーニング」のできる協力者がいれば少しは統制群らしいものが作れるのですが。もう一度、可能性を当たってみます。

一応、山崎勝之 著 「心の健康教育」(星和書店)に対抗して攻撃性尺度を作り直しました。山崎さんたちの介入研究では有意差がでていません。尺度の敏感さが足りないのか、介入方法が悪いのか、どちらかです。そういうわけで、尺度作りのために1700名の自己評定のデータを集め、教師に問題児をノミネートして基準関連的に尺度構成しました。この点では山崎さんたちの因子分析的な攻撃性尺度とはひと味違うと自負しています。しかし、これだけ指導するのがやっとで、院生と言っても一年しか通学しません。私のゼミに次の院生が現れるのは何年先か分かりません。鳴門教育大とは勝負になりません。

富山ではこういう取り組みは皆無で、無駄な測定ですが、ないよりマシかなと思っています。尺度作成の部分で十分修論になる内容になっています。「対照群なしの事前と事後測定」ではだめだということは認識しています。介入研究は将来の課題です。

> 
> >教育現場ではランダム化までは難しいのが現実です。
> >科学ですから検証手続きがあれば可ではないでしょうか。
> 
>  科学であることからランダム化ということが考え出されたのですが、
> 上の「検証手続き」とは、具体的にはどういうものでしょうか?
> 「対照群なしの事前と事後測定結果」が追試できるというのであれば、
> 交絡要因が評価できない無駄な測定の繰り返しに過ぎません。
> 
> 日本女子大学心理学科
> 岡本安晴
> 
> 



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村上宣寛 


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